東洋紡がプラスチック素材開発 ダイレクトレーザー印字が可能

2025年08月07日

ゴムタイムス社

 東洋紡は8月5日、業界で初めて、ダイレクトレーザー印字が可能な透明容器向けプラスチック素材を新たに開発したと発表した。
 同プラスチック素材を用いた透明容器は、汎用のUVレーザー等を用いたレーザー照射のみで高精細かつ剥がれない印字を実現。インクなどの消耗品を一切使用しないため、インク切れに伴う交換作業を含めた従来の印字コストの削減が可能となる。パックご飯やゼリーといった中身の視認性の向上や見た目の訴求が重要となる食品用の透明容器向けを中心として2025年3月より積極的にサンプル提案を進めている。
 同社は2021年に、独自の樹脂設計技術を用いて、これまでレーザー印字に必要とされていたラミネート処理を施すことなく、プラスチックフィルムへのダイレクト印字を可能にするフィルム製品「レザイア」を開発。食品や化粧品などの外装ラベル向けに、生産効率向上に貢献する素材としてサンプル展開を進めてきた。その過程で、パックご飯などの透明な食品容器本体への印字ニーズが寄せられるようになったが、透明な素材へ直接レーザー印字を可能にするためには新しい素材の開発が必要だった。
 こうした背景のもと、同社はこのほど、この樹脂設計技術を水平展開し、PETやポリプロピレン、ナイロンなどの透明容器へのダイレクトレーザー印字が可能なプラスチック素材を新たに開発した。
 これまでのレーザー印字に対応したプラスチック素材は有色であることが多く、容器として利用する際に内容物の視認性が低いなどの課題があった。
 一方、同素材はレーザー光で透明プラスチックを変色させることができ、レーザー印字対応と容器の透明性を両立する。食品包装に求められる食品衛生法のポジティブリストにも適合し、凹凸面や曲折部など表面形状を選ばず印字可能なため、パック総菜やゼリーなど、中身の見た目の良さなどを訴求できる透明容器に幅広く対応する。
 また、同素材はプラスチック自体を変色させていることから、アルコールや摩耗で文字が剥がれることが無く、製品のトレーサビリティの確保にも貢献する。
 同社は、同技術を活用したフィルムや容器対応素材を開発することで、顧客の幅広い包装ニーズに応じて、外装ラベルから容器本体までさまざまな形状・部位へのレーザー印字に対応可能な製品を取り揃えた。今後、パックご飯、パック総菜、ゼリー、冷凍食品などの包装材向けに展開を進めるとともに、内容物の確認しやすさやトレーサビリティが確保できるといった特長を生かし、食品にとどまらず化粧品や医薬品の包装材、工業用部材など幅広い分野での採用を目指して積極的に提案を進めていく。

レーザー印字可能な透明容器のサンプル

レーザー印字可能な透明容器のサンプル

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