旭化成、水素システムを供給 フィンランドのプロジェクトへ

2025年08月05日

ゴムタイムス社

 旭化成は7月30日、Central Finland Mobility Foundationより、1MW級のコンテナ型アルカリ水電解システム「アクアライザー・シーキューブ」を受注したことを発表した。

 Cefmofは、フィンランドユバスキュラ市、TOYOTA GAZOO Racing World Rally Teamとトヨタ・モビリティ基金によって設立され、セントラルフィンランド地区の脱炭素化を水素の活用を通じて支援する現地社団法人である。

 現在、フィンランドのユバスキュラ市で、水素を燃料とするバスや乗用車の導入を通じて、水素を活用したモビリティ分野の活性化を図るプロジェクトが、Cefmofやユバスキュラ市をはじめとする関係者の連携により進められている。本プロジェクトはセントラルフィンランド地区内で、水素を製造・使用する「地産地消モデル」の構築を目指している。フィンランド初となる商用水素ステーションの開設に合わせて、その隣接地に同社のコンテナ型アルカリ水電解システムが設置される予定。

 水素社会を世界規模で実現するためには、さまざまな気象条件下での運用課題の検証と、技術的信頼性の確保が必要となる。ユバスキュラ市では、冬季に厳しい寒さとなることから、寒冷地環境におけるアルカリ水電解システムを含む水素供給インフラや燃料電池車の運用実証を行うことが可能となる。凍結リスクなどの寒冷地特有の課題に対応しながら実証を進めることで、フィンランドを含む寒冷地における水素社会の実現に向けた重要な一歩となる。

 同社は、水素関連事業を将来の成長ドライバ―となる「戦略的育成」事業の1つとして位置付け、本格的な事業化に向けた投資を行っている。旭化成の既存事業であるイオン交換膜法食塩電解事業を通じて蓄積してきた顧客基盤、技術などの無形資産を水素関連事業に活用することで、多様なパートナーとの協業などの活動が着実に進捗している。

 同社は、これまで実証を行ってきた大規模アルカリ水電解システム「アクアライザー」に、このたび、コンテナ型アルカリ水電解システム「アクアライザー・シーキューブ」を新たにラインアップに加えた。アクアライザー・シーキューブは、新規に水電解システムを導入する企業向けのエントリーモデルとして、また、小規模な分散型設備を構築するために適したシステムとなる。今後は、本システムを通じて、初期導入を支援しつつ、将来的なスケールアップにも対応することで、大規模システムの本格導入へとつなげていける体制を整えている。

コンテナ型アルカリ水電解システム「アクアライザー・シーキューブ」

コンテナ型アルカリ水電解システム「アクアライザー・シーキューブ」

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