ハイケムが日本市場開拓を開始 フッ素系溶剤置換候補のHFO

2025年08月04日

ゴムタイムス社

 グローバルに事業を展開する化学品商社兼メーカーのハイケムは8月1日、江西中欣埃克盛新材料(英名:アーテセンケミカル)の、地球温暖化係数(GWP)1未満、オゾン層破壊係数(ODP)ゼロ、不燃性・低毒性を特長とする、HFO(ハイドロフルオロオレフィン)製品「HFOー1233zd」の日本市場開拓に向けたサンプルワークを開始すると発表した。
 アーテセンケミカルは、2018年に設立されたHFO(ハイドロフルオロオレフィン)製造工場を母体に、2022年7月、浙江中欣弗材股份が浙江埃克盛化工の江西工場の株式51%を譲渡および現金増資を通じて取得し、社名を「江西中欣埃克盛新材料」に変更した企業となる。現在では、中国国内で自社技術・自社工場によるHFO(ハイドロフルオロオレフィン)の製造を行う、数少ない専業メーカーとして高い注目を集めている。
 同社が製造する主力製品「HFOー1233zd(E)」は、主に硬質ウレタンフォーム発泡剤などの用途に使用され、建築用断熱材や冷蔵庫、エアコンの冷媒など幅広い用途で高い需要がある。近年では、省エネ住宅義務化に伴い、断熱材向けのニーズは今後さらに拡大する見込みとなる。
 また、「HFOー1233zd(Z)」は、工業用フッ素系溶剤であり、半導体などの洗浄剤に用いられている。フッ素系溶剤は精密な金属加工部品の脱脂洗浄に使用され、付加価値の高い洗浄剤として評価されてきた。
 一方で、従来普及していたCFC(クロロフルオロカーボン)やHCFC(ハイドロクロロフルオロカーボン)はオゾン層破壊係数(ODP)が高く地球温暖化の原因になることから代替が進んでいる。さらに、代替品として使用されていた、HFC(ハイドロフルオロカーボン)も2023年末に生産が終了しており、安全性を維持しつつ、優れた脱脂洗浄力と低GWP、ゼロODPを両立した、HFO(ハイドロフルオロオレフィン)がフッ素系溶剤の最終置換候補となっている。また、近年規制が強化されている臭素系溶剤の代替品としても期待されている。
 同社がアーテセンケミカルの総代理店となることで、安定供給・顧客ニーズに応じた製品開発の連携(技術サポートを今後の協業により強化)・物流体制の整備を進めていく。これにより、省エネ基準適合義務化による断熱材の需要増、半導体分野における国内投資の拡大、フッ素系溶剤及び臭素系溶剤の最終置換候補として、更に需要が高まるHFO(ハイドロフルオロオレフィン)製品の日本市場へ向けた安定供給を実現していく。

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