三菱ケミカル、慶應義塾大学、ソフトバンク、およびJSRは7月31日、慶大量子コンピューティングセンター内のIBM Q Network Hubにて「量子コンピューターを用いた大規模なエネルギーギャップ計算手法」を開発し、その論文が「米国科学アカデミー紀要(PNAS)」に掲載されたと発表した。
今回、大規模な分子のエネルギーギャップを高精度で求めるために、エネルギーギャップの計算手法のひとつである量子位相差推定とテンソルネットワークによる量子回路圧縮を組み合わせた手法を提案し、この手法をゲート型商用量子コンピューター「IBM Quantum System One」および「IBM Quantum System Two」上で、ハバードモデルおよび直鎖分子に対して実行した。
QーCTRL社のエラー抑制モジュールを組み合わせることで、従来の5倍以上である最大32量子ビット(32スピン軌道)のシステムに対するエネルギーギャップの計算に成功した。
この結果は、大規模な分子の物性を高精度に解析する道を切り拓くことが期待される。
4者は、今後も材料開発をはじめとする、量子コンピューターを用いた幅広い実応用の技術確立に向けて取り組んでいく。
2025年08月01日
