横浜ゴム、アイスガード8発表 氷上性能14%向上

2025年07月23日

ゴムタイムス社

 横浜ゴムは7月17日、乗用車用スタッドレスタイヤの新商品「アイスガード8」を発表した。発売サイズは全71サイスで9月1日より順次発売する。
 第8世代となる「アイスガード8」は、「アイスガード」シリーズにおいて一貫して追求してきた氷上性能を革新的に高める、冬用タイヤ新技術コンセプト「冬テック」を初採用することにより、従来品に比べ氷上制動性能を14%、氷上旋回性能を13%と大幅に向上するとともに、雪上制動性能も4%、ドライ・ウェット性能を3%向上し静粛性能も向上させた。さらに、ころがり抵抗と耐摩耗性能は従来品同等レベルを維持しており、冬のさまざまな路面で高い性能を発揮する。
 新製品発表会で登壇した清宮眞二代表取締役社長兼COOは「日本の冬の路面の厳しい環境に対応し、日本の冬の安全を守るスタッドレスタイヤであるべく氷上性能の最大化を商品コンセプトにした」と説明をし、「2025年度冬シーズンに向けて、アイスガード8を加えることになり、横浜のスタッドレスタイヤ、アイスガードシリーズをより強力なものとし、日本の冬の安全はスタッドレスタイヤが守るという考えのもと、日本の過酷な凍結路面のさらなる安心安全をお客さまに届けていく」と話した。
 「冬テック」は、「接触の密度(氷とゴムの接触点)」と「接触の面積(路面とタイヤの接触の面積)」の2つの視点において冬の路面との「接触」を最大化する技術。これまで採用してきた技術では難しかったレベルでの氷上性能の革新を実現した。
 コンパウンドには、新開発の「冬ピタ吸水ゴム」を採用。基盤となる素材を一新し、従来よりも小型化した天然由来素材「水膜バスター」を高密度に配合した。氷が滑る原因となる水膜を吸水する力を向上し、氷上での「接触の密度(氷とゴムの接触点)」を従来品のコンパウンドに対し63%増加することで、氷上性能を飛躍的に高めた。
 同社では「吸水バルーン」の発明などにより当時の基盤技術の壁を乗り越えてきたが、「限界突破を目指すにはこれまでの課題を解決する基盤技術を一掃し、これまでの基盤となる技術とは全く新しいものにする必要がある」(清宮社長)と判断。新たな基盤素材の探索は2017年に発売したアイスガード6の開発後に開始し、「氷上摩擦力」「吸水量」「ゴム表面の接触点」の3つが従来の基盤素材を上まわることと天然由来素材であることをターゲットに掲げ、世界中のさまざまな技術展示会に足を運び、数百にもおよぶ候補を探索したという。清宮社長は「実際にタイヤ評価を行ない約40種類まで絞り込み、最終的に1つの素材水膜バスターへたどり着いた」と素材探索の経緯について説明した。
 また、シリカの増量と新素材「オレンジオイルS+」の配合により、低温時でも優れたドライ・ウェットグリップを発揮するとともに、約4年後まで氷上摩擦力の低下を抑制する。
 トレッドデザインは、同社のAI活用フレームワーク「HAICoLab」のAI技術とシミュレーション技術を活用し開発した。冬用タイヤの4つの機能を最適化したプロファイルを抽出し、氷上路面と雪上路面との「接触の面積」を追求した。
 これにより、氷に効く路面とタイヤの実接地面積を従来品比8%増加、ブロック剛性を7%高めた専用トレッドパターンを開発し、氷上性能を大幅に向上させている。また、相反する接地面積と溝エッジ量の最大化を両立することで、雪上性能もより高次元に引き上げた。
 発表会では、「アイスガード8」の新テレビCMも公開された。昨年放映の前作から引き続き、安心・安全を願う人々の象徴として吉岡里帆さんを起用。CMでは「アイスガード」ブランドの優れた性能を伝えるとともに、「アイスガード8」が冬道でのドライバーの安心

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