合成ゴム特集 レゾナック ショウプレン需要は比較的安定 手術用向け東南アジアを中心に堅調

2025年07月29日

ゴムタイムス社

 レゾナックはコア成長事業として、半導体・電子材料を挙げており、今後大きく成長を担う事業に積極的に投資を行う。一方で、安定した利益を稼ぎ、投資資金を捻出する収益基盤を築いているのが安定収益事業だ。その事業のうち、基礎化学品ではクロロプレンゴム(CR)「ショウプレン」や塩素化ポリエチレン(CPE)「エラスレン」の製造・販売を展開する。
 エラストマーグループのCR「ショウプレン」事業は他社との差別化を図るため、10年以上前から事業の軸足をラテックスにシフトしている。
 ショウプレンの25年度第3四半期(1~3月)の動向を振り返ると、ショウプレンの需要は比較的安定していた。そのなかで、注力するラテックスは前年同期比微増で、ドライチップは横ばいとなった。その結果、CRは輸出比率が高いため、円安が追い風となり、前期並みの収益を確保した。
 ラテックスの手術用や検査・試験用手袋では、「手術用向けは東南アジアを中心に比較的安定していた。工業向けは濃淡があった」(同社)。
 またラテックスの接着剤向けについては、特殊な用途もあるため、経済の影響を受けにくく、昨年12月から堅調に推移したという。
 エラスレンは、唯一の中国以外の日本製塩素化ポリエチレンという立ち位置で、半導体製造設備部材の改質剤としても使用されている。また、エラスレンの特性を引き出す配合・加工技術をベースとしたコンパウンド事業も展開している。
 エラスレンの需要は「昨年、国内で半導体製造設備部材の特需があったため、それが継続している」(同社)として堅調に推移した。ただし、コンパウンド事業では、難燃コンパウンドに使用される難燃助剤用の三酸化アンチモンの供給が値上げなどの影響で安定供給が難しい状況になった。
 今後の方向性として、「基礎化学品事業部が展開するエラストマーはマテリアルチェーンの中では、重要な事業のひとつ。我々のミッションとして、収益も含めた安定した事業であると示すことが大事になってくる」(同)ことを挙げたうえで、「我々が強みを生かせる場所に、我々しか作っていない付加価値が高いグレードを提供していく。開発も高付加価値が高い開発に取り組んでいく」(同社)としている。
 足元と上半期の動向では、CRのラテックス、ドライチップともに、第1四半期に続き、需要が安定しているため、フル稼働状態が続くと見ている。またエラスレンは、「コンパウンド事業は、第1四半期では供給に関してお客様に応えきれていない部分があったが、足元では供給に応えられるようになった」(同)として、さらなる安定供給を図っていくとしている。

ショウプレン(CR)

全文:約1102文字

技術セミナーのご案内

ゴムタイムス主催セミナー