積水化学と東レリサーチセンターが覚書締結 二次電池評価試験連携開始

2025年07月11日

ゴムタイムス社

 東レリサーチセンターと積水化学工業は7月10日、二次電池(リチウムイオン電池および次世代電池を含む)およびその周辺部材の評価試験に関する技術的・商業的検討を共同で進めるための覚書を締結したと発表した。
 この連携により、両社は二次電池の評価試験における技術力と知見を結集し、より高精度で信頼性の高い評価試験とメカニズム解明のための洞察を、材料・機器・自動車業界や大学・研究機関など多様な顧客に提供し、サービス向上と新たな市場開拓を目指す。
 2020年のカーボンニュートラル宣言以降、エネルギー・産業部門の構造転換とイノベーションの創出が求められている。特に自動車産業では、電動車(電気自動車、プラグインハイブリッド車、ハイブリッド車、燃料電池車)の普及が重要な役割を果たしており、車載用リチウムイオン電池や全固体電池の開発が急速に進展している。
 その中で、リチウムイオン電池は高いエネルギー密度と長寿命化、全固体電池はさらに高い安全性と高いエネルギー密度を実現することが期待されている。これらの技術革新による性能・信頼性の向上は、電動車の普及促進につながるものと期待されている。
 TRCは、長年にわたり最先端の分析・解析技術を提供してきたリーディングカンパニーとなる。特にリチウムイオン電池分野では、電極材料の形態観察や物性測定、電池性能の低下要因の特定など、リチウムイオン電池の材料開発や製造プロセス改善に貢献してきた。また、全固体電池など次世代電池材料の解析においても、高度な分析力を活かして、研究・技術開発を支援している。
 積水化学は2016年から住宅用を中心としたリチウムイオン電池事業を推進し、2021年からは充放電試験や安全性試験といった技術開発支援事業も展開してきた。電池事業を通じて培った知見により、顧客(電池材料メーカーや自動車メーカーなど)の製品設計や開発に伴走し、材料設計、試作から量産プロセス適合性評価まで、製品開発の工程を包括的に支援している。
 今回の連携は、TRCの分析力と積水化学の電池関連技術や評価の知見を融合させることで、既存および次世代電池の分析・評価の精度と信頼性を向上させ、電池技術の進化を促進することを目的とし、次世代電池に向けた新たな分析・評価技術の構築も視野に入れながら取り組んでいく。
 例えば、安全性試験の計画・実施・解析、評価時に発生するガスの詳細分析、材料・構造・性能に関する深掘り解析を行い、従来の試験結果だけでなく、そこに至るまでの反応メカニズムや現象の理解に必要なデータを提供する。
 今後も両社は、持続可能な社会の実現に向けて貢献していく。

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