住友ベークライトは、高摺動性と高耐熱性を備えたフェノール樹脂成形材料「スミコンPM-5700シリーズ」のラインナップ拡充に乗り出している。
スミコンPM-5700シリーズは、高耐熱のフェノール樹脂と高い摺動性を実現する黒鉛を充填させた高摺動・高耐熱フェノール樹脂成形材料。今回、耐摩耗性や熱による寸法変化を改善し、さらに高い摺動性を求められる用途に向けたPM-5750を新たなラインナップとして投入する。同シリーズは、自動車の電動化に伴い電動ポンプ類の軸受用途などでの採用が進んでいる。摺動成形材料の分野で2030年度までに年間20億円の販売を目指す。
電動ポンプ類は機能向上に伴い、摺動部材に対して高温・高負荷での耐久性向上とCO2排出量削減のニーズがあり、これらに対して効果的な材料としてさらなる市場開拓を進めている。。
バッテリーや発熱する電子部品の冷却で重要となるEWPの構成部品である軸受には、焼結カーボンやPFASの一つであるPTFEを含有するPEEK(ポリエーテルエーテルケトン)などの高価な材料が用いられている。
これら素材は製造時のCO2排出量が多く、また、焼結カーボンは部品製造時の加工工数が多く部品コストが高くなる傾向にあり、PEEKは摺動面での摩擦熱で溶融するという課題が想定される。ポンプメーカーは、ポンプの高出力化のために軸受に高い耐久性を求めており、部品設計の見直しや新素材の活用を積極的に進めている。
同シリーズは、インジェクション成形に対応し、熱硬化性樹脂の溶融時に低粘度である特徴を活かした薄肉成形や偏肉成形が可能。これにより設計の自由度が向上するというメリットもある。同社では、同シリーズにより「EWP向け軸受」などで販売実績を積み重ねてきた。
今後の計画としては、高摺動・高耐熱フェノール樹脂成形材料の販売を通じて、顧客ニーズを掴み、当社の強みである樹脂開発力を活かし、さらに高温・高負荷の用途に対してより摺動性の高い新製品の開発を積極的に進めていく。