合成ゴム特集 三井化学 三井EPTは2期連続数量伸ばす メタロセンVNB―EPTで差別化

2025年07月22日

ゴムタイムス社

  三井化学のエラストマー事業部が扱うエチレン・プロピレンゴム(EPDM)「三井EPT」は、日系メーカーを中心に国内外で展開している。
 24年度の三井EPTの業績を振り返ると、為替の円安の恩恵を受けたほか、顧客先の日系メーカーが好調により、国内はフル生産フル販売で堅調だった。「数量は2期連続で伸びている」(佐藤元紀エラストマー事業部・EPTグループリーダー)。その背景のひとつに、住友化学がEPDM事業を撤退したため、同社が着実にその需要を取り込んでいるという。
 海外では、インドが堅調で数量も年々伸長している。中国も日系メーカーのOEMが依然として不振が続いているものの、ローカルメーカー向け需要は堅調だった。ただし、タイは金融機関のローンの審査が厳格化しているため、自動車生産販売台数の減少の影響を受けている。
 三井EPTの事業戦略は事業体質の強化として、超耐熱性グレード「メタロセンVNB―EPT」と、低温特性に優れた超耐寒性グレード「メタロセンEBT」で差別化の製品ラインナップを拡充している。
 VNBーEPTについては、「海外向けに採用が決まり、年々が増加傾向だ」(同)。またVNBーEPTのHS架橋技術を活用した常温硬化の液状タイプのEPDMコーティング材は昨年10月に開催された「サステナブルマテリアル展」に出品し、「防水塗膜メーカー、塗料メーカー、シーリングメーカー、TIM材向けなどで引き合いがあり、評価が進んでいる。今後もHS架橋EPDMの技術を軸に開発を推進していきたい。液状化のニーズについても継続的な市場ヒアリングで確認していきたい」(同)という。
 最近では、住友精化製のEBTラテックス「セポレックス」のPRにも力を入れている。同製品は、柔軟性や低温特性、粘着性に優れた「メタロセンEBT」を住友精化独自の乳化分散技術でラテックス化したものだ。 

 セポレックスは、7月に開催される「人とくるまのテクノロジー展 2025 NAGOYA 」で展示を計画し、認知度を高めていく。
 4月に発表した価格改定では、5年ぶりに修繕費、労務費を中心とする固定費ならびに物流、副資材コストコストが年々上昇しているため、5月1日納入分から価格改定を行っている。
 今期の三井EPTの課題として、日系メーカーを中心に事業拡大をしていく方針のもと、「EPDM需要は堅調に推移する。継続的なコスト上昇への対応についてお客様に理解していただきながら、安定供給第一の約束を果たす」(同)。
 25年度の三井EPTの上半期の販売、数量は前年並みを計画している。

佐藤エラスEPTグループリーダー

全文:約1094文字

技術セミナーのご案内

ゴムタイムス主催セミナー