住友化学は5月13日、100%子会社である韓国の東友ファインケムの益山研究所(益山市)において、半導体用ケミカルの品質向上と最先端製品の開発加速を目的として、先端素材用クリーンルームの新設およびプロセス検証ラインの拡充に向けた体制整備投資を行うことを発表した。本設備は、2026年度以降に順次稼働を開始する予定。
先端半導体の構造が複雑化する中で、高度なプロセス洗浄に対応する高純度ケミカルや、半導体の高性能化に対応する機能性ケミカルの新たなニーズが生まれている。同社グループは、今回の体制整備をてこに、先端半導体の超微細化に対応する超高純度ケミカルや先端プロ セス・後工程材料の新たなニーズに対応する機能性ケミカル(選択エッチャント、先端フォトレジスト用シンナー、工程内クリーナーなど)の開発を加速する。
東友ファインケムは、同社グループのICT関連事業における中核子会社として、東アジアや米国を中心に積極的な事業展開を行っている。東友ファインケムは1991年の創業以来、ICT大手企業との強固なパートナーシップを基盤に、半導体関連材料およびディスプレイ材料分野で高い評価を得ている。特に半導体用ケミカル事業では、超高純度化技術や高度な分析技術に基づく品質保証体制と柔軟な供給体制を構築し、先端半導体メーカーから高い信頼を得るグローバルリーディングカンパニーとしての地位を確立している。
半導体メーカーによる大規模投資が続くなか、東友ファインケムは生産・開発体制をさらに強化するべく、既存工場における能力増強や新工場用地の確保に加え、次世代半導体新規材料の発掘を担う新研究開発センター(ソウル近郊・板橋テクノバレー)を2024年10月から稼働させている。
今回の投資により、同社グループは高純度ケミカル分野で世界トップクラスのポジションを質・量の両面から強化するとともに、機能性ケミカル分野ではラインアップ拡充に取り組む。これにより、2030年には各分野で売上収益を2024年度比で2倍にすることを目指す。
同社は、半導体材料を中長期的な成長領域の一つと位置付け、フォトレジストや半導体用ケミカル、化合物半導体などへの積極的な投資を継続している。同社は、次世代通信技術の普及やAI・自動運転などのスマート社会の実現に欠かせない半導体産業の発展に引き続き貢献していくとしている。