マテリアル領域は損失減少 帝人の24年3月期

2024年05月14日

ゴムタイムス社

 帝人の24年3月期連結決算は、売上高が1兆327億7300万円で前期比1・4%増、営業利益は135億4200万円で同5・3%増、経常利益は155億6400万円で同71・0%増、当期純利益は105億9900万円となった。マテリアル事業領域では、一部用途で需要軟化影響を受けたものの、収益性改善策の効果や保険金収入等により損失は 縮小した。また繊維・製品事業は、販売が堅調に推移し増益となった。ヘルスケア事業領域においては、医薬品導入一時金の支払いや痛風・高尿酸血症治療剤「フェブリク」の後発品参入による販売数量の減少、薬価改定影響等により減益となった。

 セグメントのうち、マテリアル領域は、売上高が4397億円で同0・2%増、営業損失は62億円(前期対比151億円の損失)。自動車関連用途を中心に需要は概ね堅調に推移するも一部用途での在庫調整や経済減速による需要減の影響を受けたほか、複合成形材料におけるUAW(全米自動車労働組合)のストライキ等の影響で販売量が減少。一方、販売価格改定などの収益性改善効果の発現や原燃料価格の低下、保険金収入等が利益に貢献した。

 同領域のアラミド分野では、主力のパラアラミド繊維「トワロン」において、労務費単価の高騰を含む工場固定費等の増加や前年度コスト増加に伴う期首在庫高などの影響を受けたものの、前年度の原燃料価格高騰に対応して進めてきた販売価格改定の効果や天然ガス価格の低下、前年度第3四半期に発生した原料工場火災事故に対する保険金収入が増益要因となった。一方、上期前半に残った工場火災の影響、一部生産設備の特殊補修部品の調達制約、自動車や光ファイバー用途でのサプライチェーンにおける在庫調整により販売量が減少した。

 同領域の複合成形材料事業分野では、収益性改善に向けて進めた前年度の原材料価格高騰に対する販売価格改定、コスト削減などが、北米での一部プログラムでの需要減およびUAWのストライキ影響による販売減少をカバーし、前期対比増収・増益となった。

 ヘルスケア領域は、売上高が1447億円で同3・9%減、営業利益は73億円で同70・9%減だった。

 25年3月期の連結業績予想は、売上高が1兆500億円で前期比1・6%増、営業利益は300億円で同横ばい、経常利益は260億円、当期純利益は100億円を見込んでいる。

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