BASFのループアミド技術 ポリアミド6をリサイクル可能に

2024年01月31日

ゴムタイムス社

 BASFは1月30日、同社とInditex社が同月23日に、テキスタイル産業におけるリサイクル性向上のための画期的な取り組みを発表した。
 同社は、100%繊維廃棄物から作られるポリアミド6(PA6)loopamid(ループアミド)によって、繊維廃棄物のみから作られるナイロンアパレル向けに、初の循環型ソリューションを提供する。Zara(ザラ)は、ループアミドを100%使用したジャケットを、同日、全世界で発売開始した。
 「リサイクルのためのデザイン」というアプローチのもと、生地、ボタン、詰め物、ホック、ループ、ジッパーなど、あらゆるパーツがループアミドの技術により作られている。 
 同社は、ループアミドの技術によってファッション業界の循環性を向上させて、PA6の繊維廃棄物をリサイクルする、革新的なソリューションを開発した。最先端技術を利用したループアミドは、PA6やスパンデックスのようなあらゆる混合繊維に対応できるため、製品製造工程及び市場で使用済みとなった繊維廃棄物の、テキスタイル間リサイクルが実現する。また、繊維と材料は複数回のリサイクルが可能であり、材料特性は従来のバージンポリアミドと同一となる。
 Inditexは、衣料品製造業界で複数の大手企業グループと協力し、ループアミドを生地、ジッパー、ボタン、詰め物、ホック、面ファスナー、縫い糸など、様々な衣料用パーツにシームレスに取り入れている。
 慈善組織Caritasが運営する回収プログラムModaReは、廃棄するテキスタイルを分類、選別し、原料として提供する。イタリアのRadiciGroupは、ループアミドポリマーを様々な特性を持つ糸に加工するプロセスに取り組んでいる。ファスナー製品を扱う日本の多国籍企業であるYKK社や、ベルクロを扱うグローバル企業も、ループアミドポリマーでジッパーやスナップボタン、ホック、面ファスナーなどのプラスチック部品を製造する上で、重要な役割を果たしている。
スペインのUniter社、イタリアのTessitura Vignetta社、ドイツのFreudenberg社およびGütermann社もこのプロジェクトに参加し、ループアミドを使用してインナーラベル、詰め物、縫い糸などの衣料用パーツを開発している。
 同社とInditexの協力関係は、両社が意欲的なサステナビリティ目標を掲げていることに基づいている。
 同社は2030年までに、サーキュラーエコノミー向けソリューションの売上高を170億ユーロに倍増させることを目指しており、その実現のために、3つの行動領域、すなわちサーキュラー原料、循環型素材、新規ビジネスモデルに重点的に取り組んでいる。
 Inditexは、2030年までにテキスタイル製品の100%を、環境フットプリントのより小さい素材のみで作ることを目指している。その取り組みの一環としてInditexは、まだ商業生産規模では存在しない次世代素材を使用した織物繊維を25%、従来のリサイクル材料を40%、有機繊維と再生繊維を25%使用することを計画している。
 PA6は、一般にナイロン6として知られる合成ポリマーの一種であり、優れた機械的特性および多様な特性によって、様々な用途で幅広く使用している。同社は、PA6およびその前駆体の主要メーカーの一社であり、欧州、アジア、北米に製造拠点を有している。

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