ダウ、最終投資決定 CO2排出ゼロプロジェクト

2023年12月05日

ゴムタイムス社

 ダウは12月4日、世界初となる二酸化炭素(CO2)排出量のスコープ1、2がネットゼロのエチレンおよび誘導品工場をカナダ・アルバータ州に建設するフォート・サスカチュワン・パス・2・ゼロプロジェクトについて、取締役会が最終投資決定をしたと発表した。
 プロジェクトは、政府の奨励金や補助金を除いて65億ドルの規模であり、スコープ1、2の排出量を正味ゼロにする既存クラッカーの改修に加え、エチレンクラッカー新設、ポリエチレン生産能力を年間200万t増加させる。この投資により、同社の世界のエチレン生産能力の20パーセントを脱炭素化し、EBITDAで最大年間10億ドルの成長がもたらす見込みとなる。
 製品に低排出または排出量ゼロという付加価値がつくことで、特に包装、インフラ、衛生などの高価値市場で高まる顧客需要を取り込むことが可能になる。
 同社は大規模プロジェクトを成功させる専門知識をもっており、米国テキサス州フリーポートのTX-9クラッカーでは優れた資本集約、転換コスト、低排出の取り組みにより、2017年の稼働以来、投資資本利益率15パーセント以上を達成している。
 取締役会の承認により、2024年に建設を開始することができる。生産能力は段階的に増加させる計画であり、第1段階は2027年に稼動し、エチレンおよびポリエチレンの生産能力を年間約128万5000t増加、第2段階は2029年に稼動し、さらに年間約60万t増やす予定となる。
 プロジェクトでは、スコープ1、2の排出量をネットゼロにするため、リンデ社の空気分離技術と自己熱改質技術を導入し、クラッカーのオフ・ガスを水素に変換してクリーンな燃料として工場内で使用する。
 さらに、排出する二酸化炭素を回収・貯蔵し、現在のCO2排出量を年間約100万t削減すると同時に、工場の生産能力の追加による排出量増加分を削減する。
 同社が投資先としてフォート・サスカチュワン工場を選んだのは、カナダ西部には他の地域と比べてコスト競争力の高い天然ガスがあり、エチレン製造の主要原料であるエタンもコスト面で有利なためとなる。
 フル稼働の場合、同社にとって世界で最もコスト競争力のある工場のひとつになると予想する。この地域は、プロジェクトの脱炭素化に必要な既存のCO2輸送・貯蔵インフラへのアクセスも可能となる。優秀な労働者が集まっており、同社は60年以上にわたって地域コミュニティの一員でもある。
 さらに、カナダ、アルバータ州、フォート・サスカチュワン市の各政府はこのプロジェクトを支援しており、カナダにおける低排出製造業の技術革新を推進する補助金や優遇措置を受けています。カナダの新しいITCプログラムを利用する初の事例となる。
 同社の投資は、循環型水素、CO2回収のほか、プロジェクト遂行に必要なインフラ資産に対する第三者企業からの約20億ドルの投資を活用する。
 今年初め、同社は、クリーンな水素と窒素を供給する産業ガス・パートナーとしてリンデ社を選定し、フロントエンド・エンジニアリングと設計においてはフルアー社を選定したことを発表した。
さらに同社は、アルバータ州幹線に沿ってCO2輸送を提供するウルフ・ミッドストリーム社、工場からの製品の第三者物流を提供するラバゴ社と提携している。

フォート・サスカチュワン工場

、 フォート・サスカチュワン工場

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