SABICが中国で最新データ発表 高耐熱の誘電体フィルム

2023年08月18日

ゴムタイムス社

 SABICは8月29日から31日まで中国・上海で開催されるPCIM Asia 2023において、高温対応コンデンサでの使用に適した高耐熱 ELCRES HTV150A誘電体フィルムについて、内部損失の大幅な低減に関する最新データを発表する。
 ELCRES HTV150Aフィルムは、ポリエチレンテレフタレート(PET)やポリエチレンナフタレート(PEN)など他の高耐熱材料と比べ、150℃までの高い動作温度で安定した性能を維持し、最大周波数100kHzの環境において損失を40%低減することができる。
 ELCRES HTV150A誘電体フィルムの低損失化は、内部発熱の低減、動作効率の向上、ホットスポット温度の安定化を実現し、より柔軟なコンデンサ設計を可能にする。また、このフィルムの損失低減は、コンデンサにおける損失減少に寄与するものとなる。
 現在、ELCRES HTV150A誘電体フィルムは、アジア太平洋地域の蒸着メーカー、コンデンサメーカーおよびOEMへ供給することが可能であり、アジア地域の企業数社がコンデンサ向けにフィルムを評価している。
 同社は、日本のコンサルティング会社であるマシン・テクノロジーと協力して、電気自動車(EV)パワートレイン・インバータ向けDCリンク用パワーコンデンサで使用する ELCRES HTV150A フィルムの性能に関する研究、テスト、検証を進めている。この継続的なコラボレーションによって、ハイブリッド車、プラグイン・ハイブリッド車、およびバッテリー電気自動車(xEV)技術を支えるELCRES HTV150Aフィルムの有用性を確認している。
 米マサチューセッツ州ピッツフィールドの同社ポリマー加工開発センターで製膜した単層フィルムの試験では、他の高耐熱材料の挙動とは対照的に、ELCRES HTV150Aフィルムは高周波および高温環境にさらされた際の内部損失が大幅に減少することが示された。
 これは、最高150℃の動作温度範囲を有する同社誘電体フィルムを用いて製造したDCリンク用パワーコンデンサは、過酷なホットスポット温度に耐えることができることを示している。
 ELCRES HTV150A誘電体フィルムは、動作温度マイナス40℃~プラス150℃および最大周波数100kHzの環境で安定した性能を発揮する業界初のコンデンサ用フィルムであり、安定した静電容量、高い絶縁抵抗、優れた誘電性能を提供する。
 このフィルムは、従来のポリプロピレン(PP)フィルムが105℃以上の環境で直面する大幅な性能低下の課題にも対応することができる。金属蒸着した3µmおよび5µmのELCRES HTV150Aフィルムを用いて製造したコンデンサは、低容量変化および安定した絶縁抵抗を示し、150℃で2000時間の標準電気および寿命試験をクリアしている。このほかELCRES HTV150Aは、すべての動作温度範囲における高い絶縁破壊強度、良好な自己修復性、アルミニウムや亜鉛に対する優れた付着性を発揮する。

高温対応コンデンサ向け誘電体フィルム

高温対応コンデンサ向け誘電体フィルム

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