三菱ケミ、共同調査契約締結 カーボンリサイクルケミカル製造事業

2023年07月19日

ゴムタイムス社

 三菱ケミカルグループは7月18日、Abu Dhabi Future Energy Company PJSC-Masdar(Masdar)、およびINPEXと、2023年7月17日にアラブ首長国連邦アブダビ首長国(アブダビ)において、世界初となる商業規模のCO2およびグリーン水素由来のポリプロピレン製造を含むカーボンリサイクルケミカル製造事業の実現に向けた共同調査に関する契約を締結したことを発表した。
 本件は、2023年7月17日にアブダビで開催された「日・UAEビジネスフォーラム」において、日本の岸田内閣総理大臣とアラブ首長国連邦のハメド・ビン・ザーイド・アール・ナヒヤーン アブダビ執行評議会委員の同席の下、発表されたもの。
 本共同調査は、eメタノールを原料とし、プロピレンを経由してポリプロピレンを製造するカーボンリサイクルケミカル製造事業の商業規模での実現可能性を検証するものであり、原料となる水素の製造、CO2の調達からeメタノール、プロピレン、ポリプロピレン製造までのプロセス検証を行うと共に、本事業全体の経済性やCO2削減効果を含めた事業化検討に取り組む。
 メタノールは基礎化学品としての幅広い用途に加え、本事業から製造されるようなeメタノールのようにクリーンな船舶燃料用途としての需要も高まっている。プラスチックの一種であるポリプロピレンは、身の回りの様々な製品に利用されている。本事業で製造される製品は、従来の化石資源由来の製品に比べ、ライフサイクルベースでのCO2排出量を大幅に減らすことが可能となる。本共同調査において本事業の実現可能性を追求することで、幅広い分野の低・脱炭素化に貢献することを目指していく。
 Masdarは、アラブ首長国連邦におけるクリーンエネルギー開発の旗振り役として、17年以上にわたり再生可能エネルギー事業を展開している。世界各地で太陽光発電や風力発電プロジェクトに投資しているほか、2008年からグリーン水素の研究にも取り組んでいる。2030年までに年間100万トンのグリーン水素の生産を目標としながら、複数の戦略的パートナーとグローバル協定を締結し、目標達成に向けた事業化検討を推進している。Masdarの再生可能エネルギーに係るポートフォリオは世界40カ国以上にわたり、投資額は300億米ドル以上となっている。また、保有する再生可能エネルギーの累計発電容量は200万kWを超えている。
 同社グループは日本最大の売上規模を持つ総合化学メーカーであり、2050年までにGHG排出量を実質ゼロとするカーボンニュートラルの達成を目指し、サーキュラーエコノミー実現に向けて取り組んでいる。三菱ケミカルグループは日揮グローバルと共同開発したメタノールを原料にしてプロピレンを直接製造する技術を保有している。
 INPEXは、2022年2月に発表した「長期戦略と中期経営計画(INPEX Vision @2022)」において、「水素事業の展開」および「カーボンリサイクルの推進」を含むネットゼロ5分野の拡大を掲げている。原料となる水素の製造と、CO2の回収を行う本事業の実現可能性の追求は、かかる目標に沿うものであり、INPEXは本事業を通じ2050年ネットゼロカーボン社会の実現に貢献すべく、取り組んでいく。

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