ミリ波反射シートを開発 凸版印刷、軽量・フレキシブル

2023年06月28日

ゴムタイムス社

 凸版印刷は6月27日、第5世代移動通信システム(5G)で使用する波長1~10mmの電波を所望の方向に反射させる、ミリ波反射シート(開発品)を開発したと発表した。
 同開発品はメタサーフェス構造を有する軽量でフレキシブルなシートで、5Gで使用するミリ波帯において、所望の方向に電波を反射させることができるため、電波が届かない不感地帯の高速・多数同時接続を可能にする。
 また、木目調や大理石調など反射シートの表面への意匠性の付与に優れ、オフィスや工場建屋の室内用壁紙として使用することができる。
 5Gで使用するミリ波帯(28GHz帯)は、高速で、大容量・高画質の情報を高速で伝送することができるため、それを活用した遠隔地の監視や、リアルタイムの高精細な動画配信、テレビ会議など様々なデジタルサービスへの拡大が期待されている。
 しかし、ミリ波帯の電波は直進性が強く、障害物に対し電波が回り込まないため、電波が届かない不感地帯と呼ばれる領域が発生し、通信速度の低下や遅延など通信品質の問題が顕在化している。
 これに対しては、通信会社による5G基地局や中継局の増設に加え、電波反射板の設置などの試験的な対策が講じられている。
 しかし現在、用いている電波反射板は厚みと重量のある金属からなり、取り付ける壁に強度が必要となるほか、金属色のため見映えが悪い、電波を反射させるために傾ける必要があるなど、利便性や安全性が不足していた。
 このような課題に対し、同社はこれまで電子部品の製造で培ってきた電磁界シミュレーションを用いた設計技術や高精細なエッチング技術を活用し、電波を制御するメタサーフェス構造を有する軽量で、フレキシブルなミリ波反射シートを開発した。
 同開発品のメタサーフェス構造は電波の反射位相を制御可能な金属パターンで、波長1~10mmのミリ波を任意の方向に反射させることができ、同開発品を室内に設置することで、不感地帯にミリ波が届き、通信環境を改善することができる。さらにフレキシブル性のあるシートは軽量で、木目調や大理石調など様々な意匠性を付与することができ、オフィス室内や工場建屋内の天井や壁に違和感なく設置することができる。
 同社は今後、屋外用途や次世代の第6世代移動通信システム(6G)へ応用するための開発も進め、5Gだけでなく、6Gにおいても、電波の不感地帯を解消し、データ通信の超高速・超低遅延・多数同時接続が可能な安全安心な通信環境を実現する。
 同開発品の特長は、メタサーフェス構造により、電波の反射角度を制御可能という点となる。メタサーフェス構造により、電波の入射角度に対し、任意の方向に電波を反射させることができるため、反射板を傾けて設置する必要がなく、電波を所望の方向に反射可能。また、屋内などにおける反射板設置の自由度が高くなる。
 その他、薄型・軽量で、フレキシブル性が高く、内装用化粧シートと同等の意匠性という特長や、最適化手法を用いた設計による反射の高効率化で、不感地帯を解消できるという特長もある。

ミリ反射シート

ミリ反射シート

意匠性を付与した反射シート

意匠性を付与した反射シート

壁紙として使用した活用例

壁紙として使用した活用例

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