出光興産ら3社が基本合意書締結 バイオマス製品のサプライチェーン構築

2023年05月22日

ゴムタイムス社

 出光興産、錦湖石油化学、住友商事は5月17日、アジア市場におけるバイオマス化学製品のサプライチェーン構築と発展を目指し、バイオマスナフサ由来のスチレンモノマー(バイオマスSM)の製造ならびにバイオマスSMを原料としたソリューションスチレンブタジエンゴム(バイオマスSSBR)の製造に関する基本合意書を締結したと発表した。
 バイオマスSSBRは2024年中に生産開始予定となる。
 本事業では、出光興産がマスバランス方式で製造・供給するバイオマスSMを原料として、韓国最大の合成ゴムメーカーである錦湖石油化学が高機能タイヤの原料となるバイオマス SSBRを製造する。
住友商事はサプライチェーン構築における全体のマネジメントを実施するとともに、バイオマス製品のマーケティングを担う。
 バイオマスナフサは、植物由来の原材料などから製造されているため、石油由来のナフサと比べてCO2排出量を抑制することが可能となる。本事業では、バイオマス製品の製造を通して、化学産業のCO2排出削減を目指す。
 バイオマス製品のサプライチェーンは、新たな市場を開拓していく必要があることから、従来の販売スキームと比較して、原料であるバイオマスナフサの調達からバイオマス製品製造までのサプライチェーン全体におけるより強いパートナーシップが求められる。3社は強力なサプライチェーン構築を通して、化学産業のCO2削減および低炭素社会の早期実現に貢献していく。
 SSBRは、スチレンモノマー、ブタジエンから作る合成ゴム。耐摩耗性、機械強度などに優れ、自動車用タイヤ、ホース、防振ゴム等、さまざまな分野に使用する。
 マスバランス方式は、原料から製品への加工・流通工程において、ある特性を持った原料(例:バイオマス由来原料)がそうでない原料(例:石油由来原料)と混合される場合に、その特性を持った原料の投入量に応じて、製品の一部に対してその特性の割り当てを行う手法。複数の生産工程を経て製品化に至る化学産業では、サプライチェーンのバイオマス化を推進させる手段としてマスバランス方式が有効としている。
 出光興産の本社は、東京都千代田区大手町一丁目2-1、代表取締役社長は木藤俊一氏、設立年は1940年(創業年1911年)、主な事業内容は、燃料油、石油化学、潤滑油、電子材料、電力・再生可能エネルギー、石油・ガス開発、石炭などの分野でグローバルに事業を展開している。
 錦湖石油化学の本社は、韓国ソウル特別市松波区オリンピック路300、代表取締役CEO は、Jong-hoon Baek氏、設立年は、1970年、主な事業内容として、世界最大の合成ゴム製造能力を持つ錦湖石油化学は、合成樹脂、特殊化学品、ナノカーボン、エネルギー、建材など、さまざまな分野で事業を展開している。過去50年間、韓国の産業開発で活躍してきた錦湖石油化学は、材料革新の最前線に立ち、より高い価値を開発・提供する世界的企業を目指している。環境を第一に考え信頼されるパートナーとして、世界最高のサービスを提供する。
 住友商事の本社は、東京都千代田区大手町2丁目3-2大手町プレイスイーストタワー、代表取締役社長執行役員CEOは兵頭誠之氏、設立年は、1919年、主な事業内容は、全世界に展開するグローバルネットワークとさまざまな産業分野における顧客・パートナーとの信頼関係をベースに、多様な商品・サービスの販売、輸出入および三国間取引、さらには国内外における事業投資など、総合力を生かした多角的な事業活動を展開している。

技術セミナーのご案内

ゴムタイムス主催セミナー