専門技術団体に訊く10 団体インタビュー 全日本プラスチックリサイクル工業会 石塚勝一会長

2023年05月25日

ゴムタイムス社

 専門技術団体に訊く10 団体インタビュー
全日本プラスチックリサイクル工業会 石塚勝一会長

国内の再生プラスチック資源循環モデルの実現へ  
2030年再生利用の倍増に向け取り組み進める

 全日本プラスチックリサイクル工業会(石塚勝一会長)は、使用済みプラスチックのマテリアルリサイクル(原料リサイクル)を行っている中小企業の全国規模の団体です。同工業会の石塚会長に、沿革や事業活動、現状の課題などついて尋ねました。

◆沿革を教えてください
 
 全日本プラスチックリサイクル工業会は、関東プラスチックリサイクル協同組合と愛知県プラスチックリサイクル協同組合が中心となって昭和51年(1976年)に設立しました。その後は各地域のプラスチックリサイクル協同組合が加入しました。現在は、日本のプラスチックマテリアルリサイクルを代表する団体として活動を続けています。世界的に見ても日本の使用済みプラスチックの回収率は高い水準にありますが、当工業会の活動はその一翼を担っています。

 当工業会は、8団体と個人会員3社の合計164社(令和4年12月現在)で構成されています。会員団体は、関東プラスチックリサイクル協同組合、東日本プラスチック再生協同組合、中部プラスチックリサイクル協同組合、北陸合成樹脂商工会、九州プラスチックリサイクル工業会、京滋プラスチックリサイクル工業会、関西プラスチックリサイクル商工会と、22年11月に加入したプラスチック押出造粒協会になります。

◆工業会の活動の取り組みは

 日本政府は2019年5月に策定した「プラスチック資源循環戦略」のなかで、2030年までに再生利用を倍増するという目標を掲げております。その目標を達成するために注力しています。
 いまだに再生プラスチックは安かろう悪かろうのイメージが根付いており、品質について不安感を抱いている方も多いです。リサイクルに対する関心も日本は海外と比べて低い傾向です。その不安感を払しょくすることが重要になってきます。
 工業会活動では、運営方針を決定し会員企業の情報交換の場として、年3回開催している常任理事会や総会を開催しています。22年から総会は対面で開催しました。23年の総会は、6月21日に行います。また広報活動の一環として、「プラスチックニュース」という会報誌を会員企業に月1回メールマガジン形式で配信しています。会報誌では、共通の話題や情報を共有できる機会を設けています。

◆プラスチック新法への対応について
 22年4月1日には「プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律(プラスチック新法)」が施行しました。これから本格的にプラスチック新法が動き出そうとしています。
 当工業会は業界団体を代表して、政府や各省庁に意見を述べてきました。
「プラスチックに係る資源循環の促進に関する法律」が制定される前にはリサイクルには分別回収が重要だとのパブリックコメントを出しています。最近では、POPs(残留性有機汚染物質)の厳格化に対してリサイクル材の普及の妨げにならないように対応してもらいたいとのコメントを提出しました。お陰様でリサイクル事に関して当工業会に関係省庁からも意見を求められるようになりました。
 大きな目標である2030年に再生利用の倍増へ向けて、資源プラスチックの回収量を増やすため、新しいルートを作ることが重要になってきます。その具体的な成果のひとつに、22年10月に「革新的技術・ビジネス推進プロジェクトの提案事業」が東京都に採択されました。この事業では、東京都と当工業会が一緒になり、家庭から出る粗大ごみのプラスチック衣装ケースを回収しリサイクルを行う実証実験を行いました。回収費用の課題はあるものの良好な物性のリサイクル材を作ることができ、今後は商売として可能なことが実証されました。

◆カーボンフットプリントへの取り組みを教えてください

 当工業会のカーボンフットプリントに関する取り組みは古くから行っております。なぜなら、リサイクル材の環境的付加価値を高めていかなければと考えているからです。
 現在、登録申請はポリエチレンとポリプロピレンを対象にしていますが、今後はABSやポリスチレンなどの材料でも認定証を発行できる体制を整えていこうと考えております。

◆現状の課題について

 国内のプラスチック資源循環を施策として、当工業会の意見を統一させていくことです。22年の会員入会は、13社が入会しました。当工業会の会員数は年々増加傾向になっています。会員のなかには、地産地消での資源循環に取り組む事業者から海外への再生プラスチックの輸出を専門とする事業者など様々な企業が在籍しています。当工業会として、国内の再生プラスチック資源循環モデルの実現を理念に掲げているため、会員企業の異なる意見を取りまとめていく必要があります。これから入会する会員様にも、当工業会の理念に共感してくれる企業を求めています。
 会員企業が抱える課題としては生産現場の人手不足が挙げられます。人手不足の解消に向けた取り組みとして、又、日本の優れたリサイクル技術を他の国にも広めるために、外国人技能実習制度に基づく「押出造粒業」の業としての追加認定を受けるための活動も開始しました。

◆設立50周年に向けた今後の展開は

 現在は、独立した地域ごとの各ブロックを取りまとめる集合体として当工業会が位置しています。将来的には、各支部体制として統一することが必要ではないかと考えています。各支部に支部長を置き情報や価値観を共有することで会員同士のレベルアップや仕事の連携に繋がっていけると思います。

 

*この記事はゴム・プラスチックの技術専門季刊誌「ポリマーTECH」に掲載されました。

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