出光興産らが種子島空港へ 再エネ電力供給とEV充電の共同実証

2023年04月12日

ゴムタイムス社

 出光興産は4月10日、同社と種子島石油、種子島空港ターミナルビルが、種子島空港内の小規模オンサイトPPAによる空港ターミナルビルへの電力供給と、EV充電の共同実証を同日開始したと発表した。
 本共同実証では、同社が開発した電力分別供給システム「IDEPASSTM」とEV充電システム「再エネチョイス TM」を活用し、ターミナルビルへの再生可能エネルギー(太陽光)由来の電力供給と、従量課金制によるEV普通充電を実施する。
 「2050年カーボンニュートラル」の実現に向け、政府の第6次エネルギー基本計画(2021年10月)では、空港施設・空港車両のCO2排出削減を含む航空分野の脱炭素化の推進と同時に、「空港を再エネ拠点化する方策を検討・始動し、官民連携の取り組みを推進する」ことが盛り込まれている。
 同社と種子島石油はこれまで、西之表市の公共交通車両のEV化・充電を含めたEV関連事業実証や、南種子町役場庁舎への再エネ電力の供給・EV充電等の実証等を通じ、各市町と協働して種子島における低炭素エネルギーの地産地消の推進に取り組んできた。
 今回実証を行う種子島空港は、島外との往来の空の玄関口であり、ビジネスや観光などの活動の起点となる場所。同社、種子島石油、種子島空港は、空港におけるカーボンニュートラル実現のための施策として、空港敷地内に太陽光発電パネルを設置し、ターミナルビルにおいて太陽光由来の電力を活用することによるCO2の排出削減を実証するとともに、地域の環境意識を喚起・向上し、再エネ電力のさらなる普及を促進する。
 実証にあたっては、3月29日に同社が発表した再エネ電力分別供給システム「IDEPASS」を活用し、空港敷地内で発電した再エネ電力を空港ターミナルビルのテナントへ選択的に供給する。
 あわせて、種子島石油が空港敷地内で管理・運用するEV用普通充電器で、再エネ電力および系統から送電した再エネ以外の電力を公用EVなどに充電する。
 今回設置した普通充電器は、従量課金制(充電量に比例して課金)となる。また、同社が開発したEV充電システム「再エネチョイス」を活用し、EVユーザーが自ら再エネでの充電を選択できる。従量課金制による普通充電、そしてユーザーが再エネを選択できる充電は、本年4月3日に南種子町役場で開始した実証とともに、国内における先行事例となる。
 充電する電力種別や、必要充電量・金額をユーザーが選択することが可能であり、ユーザーニーズに合致した充電が可能となる。当該充電器は一般の方も利用できる。
 実証は4年間の予定で行い、小規模オンサイトPPAの事業性、再エネ電力活用による CO2の排出削減、従量課金制充電の顧客満足・事業性等について検証する。これらの検証を通じ、同社、種子島石油、種子島空港は、空港における低炭素エネルギーの地産地消推進と、EVユーザーと地域の充電事業運営者にとって最適なサービスの構築を目指す。
 実証場所は、種子島空港ターミナルビル、実証期間は、2023年4月~2026年(見込み)、設置設備は、太陽光発電システム(54・75 kW)、EV用普通充電器(6kW、3台)、となる。
 実証における各者の役割は、同社が実証企画主体者、ビジネスモデル検討、PPA主体者、種子島石油が、EV関連事業提供者・事業主体、充電器維持・管理・運用、種子島空港が、再生可能エネルギーの利用、排出CO2削減の検証などとなる。
 同社は2050年カーボンニュートラル社会の実現に向け、2030年ビジョン「責任ある変革者」、2050年ビジョン「変革をカタチに」を掲げている。
 昨年11月に発表した中期経営計画(対象年度、2023~2025年度)では、「一歩先のエネルギー」、「多様な省資源、資源循環ソリューション」、「スマートよろずや」の3つの事業領域の社会実装を通して「人々の暮らしを支える責任」と「未来の地球環境を守る責任」を果たす。
 本実証の取り組みは、事業ポートフォリオ転換に向けた事業領域のうち「スマートよろずや」の事業開発と社会実装に向けた取り組みと位置付けている。
 同社は種子島におけるエネルギーの多様化・低炭素化を目指し、系列サービスステーションを運営する種子島石油とともに、地域の豊かな暮らしの実現に貢献する。

再エネ由来電力供給の流れ

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