BASFら実証プラント建設 世界初、電気加熱式クラッカー 

2022年10月04日

ゴムタイムス社

 BASFは9月1日、SABIC 、Lindeと世界初となる大規模な電気加熱式スチームクラッカーの実証プラントの建設を開始したと発表した。

 この新技術は天然ガスの代わりに再生可能エネルギーを使用することで、化学業界で最もエネルギー集約的な生産プロセスの1つであるスチームクラッキングから排出されるCO2を、現在使用されている技術に比べて、少なくとも90%削減できる可能性があるとしている。同実証プラントはBASFのフェアブント拠点(統合生産拠点)にある既存のスチームクラッカーの1つに完全に統合される予定。2つの異なる加熱コンセプトをテストし、1時間あたり約4トンの炭化水素を処理し、6メガワットの再生可能エネルギーを消費する予定。実証プラントの稼働は2023年を目指している。BASFとSABICは同プロジェクトに共同投資し、実証プラントはBASFが運営する。Lindeは同プロジェクトの設計、調達、建設のパートナーであり、将来的には開発した技術を商業化する予定としている。

 新規炉技術の開発支援のため、同プロジェクトは、ドイツ連邦経済・気候保護省の「産業界の脱炭素化」資金援助プログラムにより、1480万ユーロの助成金を受けることになった。同プログラムは、ドイツ国内のエネルギー集約型産業がカーボンニュートラルを達成するための取り組みを支援するもの。

 同実証プラントは熱源としたオレフィンの連続生産が可能であることを示すことを目的としている。同プラントは、2つの加熱コンセプトを並行してテストできるように設計されている。直接加熱は、リアクター内のプロセスチューブに直接電流を流し、間接加熱は、チューブの周囲に配置した発熱体の輻射熱を利用する。この2つのコンセプトをテストすることで、顧客や現場のさまざまな要求に柔軟に対応することが出来るとしている。基礎化学品の製造において中心的な役割を果たすスチームクラッカーは、炭化水素をオレフィンや芳香族に分解するために、多大なエネルギーを必要とする。一般的には約850℃のリアクターの中で反応が行われる。現在では、化石燃料を燃焼させることでこの温度に達している。同プロジェクトではこのプロセスを電気で動かすことで、CO2排出量の削減を目指していく。

 

実証プラントにて

3Dグラフィック

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