西九州新幹線の座面に採用 東洋紡の三次元網状繊維構造体

2022年09月28日

ゴムタイムス社

 東洋紡は9月16日、同社の三次元網状繊維構造体「ブレスエアー」が、23日より九州旅客鉄道(JR九州)が運行開始する西九州新幹線「かもめ」の自由席車両全シートの座面に採用されたと発表した。

 「ブレスエアー」は、同社の熱可塑性ポリエステル系エラストマーを繊維状にして立体的に接合した三次元網状繊維構造体で、軽量・高反発で耐久性や通気性に優れる。ウレタンフォームに替わるクッション材として、1996年の上市以来、一般および業務用の寝具はもとより、鉄道車両やオートバイのシートなど幅広い用途で採用されてきた。

 自動車部品にも用いられる熱可塑性エラストマー「ペルプレン」を原料とする「ブレスエアー」は、JIS L 4500耐久性区分の最高位レベルである「D1クラス」を実現するなど耐久性や耐熱性に優れており、これまで、JR東海の東海道新幹線「N700S」、JR西日本の特急「サンダーバード」や「はるか」をはじめ、数多くの鉄道車両シート座面に採用されてきた。

 また、「ブレスエアー」は熱可塑性エラストマーを原料としていることから、マテリアルリサイクルが可能となる。同社は、製造工程で発生する端材や規格外品を回収し、「ブレスエアー」の原料として再利用するリサイクル技術を確立するなど、プラスチックの排出量の削減にも取り組んでいる。

 豊富な採用実績に加え、こうした環境適合性に優れた点などが評価され、西九州新幹線「かもめ」に採用されるに至った。

 西九州新幹線「かもめ」は、長崎駅と武雄温泉駅(佐賀県)を結ぶ。博多~長崎間は武雄温泉駅で在来線特急「リレーかもめ」と対面乗換を行うことで、博多~長崎間の最速の所要時間は現行よりも最大30分短縮され、1時間20分となる。福岡地区、さらには中国・関西地区から西九州地区へアクセスする際の利便性向上が期待されている。

 同社は今後も、「ブレスエアー」が持つ優れた製品特長を訴求することにより、寝具や鉄道車両シート向けの採用拡大を目指すとともに、新たな用途展開にも積極的に努めていくとしている。

 

東洋紡「ブレスエアー」

東洋紡「ブレスエアー」

 

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