三洋化成がUV硬化樹脂開発 18倍の75%の伸びを実現

2022年06月30日

ゴムタイムス社

 三洋化成は6月23日、硬くて曲がり、基材密着性に優れる紫外線(UV)硬化樹脂「ネオジェットFL」を開発した。既にサンプル提供を開始しており、3年後をメドに名古屋工場での量産化を目指す。同シリーズ全体の売上は3年後に約3億円を予定している。
 ネオジェットFLは同社の界面制御技術や合成技術、配合技術を組み合わせて設計・開発したアクリレート系のUV硬化樹脂。UV硬化樹脂は種々の電子材料のフレキシブル化、スマートフォンのフォルダブル化、自動車の内装用の加飾フィルムなど、硬くて強いだけでなく、変形させても割れない伸びのよさが求められている。
 また、ディスプレイ、電子材料分野の発展やアプリケーションの進化によって、被着体の形状の特殊化、基材の多様化、パターンの高精度化などニーズが多様化しており、UV硬化樹脂にも最適なソリューションが求められている。
 新製品はこれら課題を解決すべく開発され、同社従来品との比較で約18倍、75%の伸びを示すなど硬くて強く、伸びが良いのが最大の特徴となる。また、ポリイミドフィルム上に塗布・硬化した薄膜は、折り曲げ試験において、先端曲率半径0・5mmで10万回折り曲げても剥がれや割れが生じず、高い柔軟性と密着性を有している。
 ポリイミドフィルム以外にも同製品はガラス・金属などさまざまな基材に対する密着性にも優れている。電子部品は長期的な信頼性が求められるため、熱や水、衝撃などの外的要因から電子部品を保護する必要がある。一方、硬くて強く、割れずに変形し、基材密着性にも優れる同製品は、フレキシブル化が進む電子材料において、使用される電子部品や回路などの保護材料に適している。
 また、同製品は室温で17度という低粘度で吐出安定性が高いことから、次世代のエレクトロニクス製造技術として注目されているインクジェット用途にも適用できる。
 さらに、成型加工性にも優れており、繰り返し折り曲げても割れないほどしなやかで透明性も高いため、光学フィルム用途での適用も可能としている。
 ネオジェットシリーズのラインナップとしては、ネオジェットFL以外にもオレフィン基材に対しても密着性が高い高密着性グレード「ネオジェット PAD」や金属やガラスへの密着性が高い「ネオジェットGMAD」などもそろえており、多用なニーズに応えることができる。
 今後、ウェラブルデバイス、フレキシブルデバイスの開発や、あらゆる機器がインターネットにつながるIoTが進む中で、特殊形状の被着体への塗布、膨大な部品の搭載、部品・デバイスの複合的な組み合わせなどが必要となると予想される。同社ではこれらの高度なニーズを解決するソリューションとして、ネオジェットシリーズの実用化を目指すとともに、さまざまなニーズに合わせた製品を開発していくとしている。

 

新製品で作成した折り鶴

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