新しいNORYL樹脂を発表 SABIC、絶縁フィルム向け

2022年06月24日

ゴムタイムス社

 SABICは6月23日、「NORYL NHP8000VT3樹脂」を発表した。同製品は短絡および火災伝搬に対する保護性を強化した電気自動車(EV)用電池モジュールで使用される絶縁フィルムに適した製品で、この高性能ポリフェニレンエーテル(PPE)ベースの樹脂は、高電圧電池(600~800ボルト)の厳しい要求を満たすように開発された特許取得済技術を用いて設計されている。

 同製品は最高の比較トラッキング指数性能レベル・カテゴリー0(CTI PLC0)を達成し、極薄肉押出成形および真空・圧空成形を可能とし、非臭素化、非塩素化難燃性を備えながら、0・25mmにてUL94 V0規格に適合する。同製品は、より強力なCTI性能およびより薄肉の難燃特性を提供することによって、ポリカーボネート(PC)およびポリプロピレン(PP)製の既存絶縁フィルムの欠点に対する斬新なソリューションになる。この並外れた材料は、乗客安全の確保、走行距離延長のための軽量化および高効率化を支援することによって、EV電池技術の発展に貢献する。

 同社は、6月28~30日にドイツ・シュトゥットガルトで開催されるThe Battery Show Europe 2022に同製品を出展する予定としている。

 同社スペシャリティー事業部のLNP&NORYLビジネス・マネジメント・ディレクターであるJoshua Chiaw氏は、「標準の400ボルトEV電池から、より高電圧への移行によって、充電時間の短縮、走行距離延長および車両内のエネルギー管理の向上の可能性がもたらされる。ただし、より高電圧の電池の設計には、当社の新しい絶縁フィルム用NORYL樹脂などの画期的な材料の革新を必要とする。この新しいソリューションは、最高のCTI性能レベルを達成しながら厳しい難燃性基準も満たす業界初の真空・圧空成形可能な材料となっている。SABICは、安全性、性能および走行距離に対する課題に対処することによって、Eモビリティー採用を促進することのできる革新的材料のソリューションの開発に徹底して注力し続ける」と述べている。

 

「NORYL NHP8000VT3樹脂」

「NORYL NHP8000VT3樹脂」

絶縁フィルムのサンプル

絶縁フィルムのサンプル

 

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