低複屈折性の新透明樹脂 旭化成が採用拡大目指す

2022年05月30日

ゴムタイムス社

 旭化成は低複屈折性を有する新しい透明樹脂「AZP」について、より幅広い分野での採用に向け、本格的なマーケティング活動へと移行する。同社はこれまで「AZP」の開発を進めており、拡大する市場ニーズを受け、昨年度より先行販売を実施している。

 近年メタバースでのVR(仮想現実)/AR(拡張現実)ヘッドマウントディスプレイ、自動車などの映像表示機器では、偏光を乱さない複屈折が極めて小さい光学部材が求められている。同社では、分子レベルでの複屈折制御により新しい低複屈折透明樹脂「AZP」を開発し、サンプル提供を行うことで好評価を得て、先行販売へと繋げた。今後、「AZP」の低複屈折特性を採用してもらうため、展示会への出展など、より広範なマーケティング活動を本格化し、年内の製品化実現を目指していくとしている。

 「AZP」の特長として、「低複屈折性」「優れた光学特性および物理特性」の2点が挙げられる。①低複屈折性では、樹脂成形時の分子鎖の配向に起因して発生する複屈折「面内位相差(Re)」「厚み方向位相差(Rth)」、および成形後の応力に起因して発生する複屈折の指標「光弾性係数(C)」を限りなくゼロに近い水準で実現している。その結果、特殊な成形方法や成形条件、後処理工程を用いずに極めて複屈折の低い成形体を得ることが可能となっており、生産性や設計自由度の向上に寄与する。

 「優れた光学特性および物理特性」では、①優れた透明性(全光線透過率約92%)、②高耐熱性(ガラス転移温度(Tg)約133度)、③高表面硬度(鉛筆硬度3H程度)といった特長をもつ。

 同社は今後、年内を目標に製品化を進め、市場のお客さまの声を反映させながら、さらに新しい用途の提案を進めていくとしている。

 

射出成形レンズの偏光観察

射出成形レンズの偏光観察

 

関連キーワード: ·

技術セミナーのご案内

ゴムタイムス主催セミナー