住友化学、パイロットと共同で 水平リサイクルの実現めざす

2022年04月14日

ゴムタイムス社

 住友化学は4月12日、同社とパイロットコーポレーション(パイロット)が、使用済みのプラスチック製品を同じ用途の製品に作り替える水平リサイクルの実現に向けて、プラスチック容器包装の印刷層を無色化する技術に関する共同開発を推進すると発表した。

 プラスチックは自動車や航空機、電子機器、容器包装などさまざまな用途に用いられており、循環型社会の実現に向けて、用途に応じたリサイクル技術の開発を推進していくことが求められている。このうち、プラスチック製の容器包装については、マテリアルリサイクルを行ってもインキの色が残ってしまい、同様の用途に適用可能な品質レベルの樹脂へと再生することが困難となっている。

 同共同開発において、同社は、これまで培ってきた樹脂設計・加工技術を生かして、インキの無色化を行う溶融混練工程を中心としたマテリアルリサイクル・プロセスの開発を担う。パイロットはグループ内のパイロットインキが開発・保有するインキ技術を生かして、同リサイクルプロセスに適した特殊インキの開発を担う。両社が協力することで、再資源化したプラスチックの用途展開の幅を広げ、限りある資源の循環を目指す。また、両社は印刷が施された包装材料の分別・回収スキームの構築についても検討を進めていく。

 同社は、経営として取り組む重要課題の一つに「環境分野への貢献」を掲げている。その実現に向けて、他企業やアカデミアとの協業によりケミカルリサイクル技術の開発を進めているほか、マテリアルリサイクルやフィルムのモノマテリアル化などにも注力している。

 パイロットは、環境負荷低減と循環型社会の実現へ向け、これまでも製品を通じてリユース、リサイクルなど、資源の再利用を推進することで、限りある資源の有効活用に取り組んでおり、プラスチックのマテリアルリサイクル技術を開発することもその一環となる。

 両社は同共同開発を通じて、化石資源使用量の削減および環境への廃プラスチック排出量の削減、さらに廃プラスチック焼却時に発生する温室効果ガス排出量の削減を実現し、持続可能な社会の構築に貢献していくとしている。

 

プラスチック資源循環をめざす

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