住友化学、MMA事業部新設 戦略・グローバル展開一元化

2022年02月26日

ゴムタイムス社

 住友化学は2月25日、4月1日付でMMA(メチルメタクリレート)モノマーおよびアクリル樹脂(PMMA、ポリメチルメタクリレート)事業の強化に向け、戦略策定とグローバル展開を一元的に行うMMA事業部を新設すると発表した。
 MMAモノマーは主にアクリル樹脂の原料として用いられるほか、塗料、コーティング剤などさまざまな用途で利用されている。アクリル樹脂は、プラスチックの中でも極めて透明性が高く、さらに耐候性や加工性にも優れるため、高付加価値の樹脂として、自動車のテールランプカバーやサイドバイザー、家電、水槽、屋外看板、液晶ディスプレイなどに広く使用される。
 また、アクリル樹脂は解重合により効率的にMMAモノマーに戻すことが可能なため、ケミカルリサイクルの進展が見込まれるプラスチックとして注目されている。
 同社グループにおけるMMAは、石油化学部門の重点強化事業と位置付け、MMAモノマーからアクリル樹脂、シートに至るまで一貫して手掛けている。MMAモノマーは日本、シンガポール、サウジアラビアの3拠点で生産し、合計の生産能力は年産40万トンで世界4位の市場シェアを持ち、アクリル樹脂はシンガポールを中心に年産20万トンの能力がある。同社グループはこれまでも、需要の増加に応じた事業規模の拡大を図るとともに、意匠性を維持しながらも長期の耐候性と耐擦り傷性を維持し、さらに自動車内装・外装材や大型で横長かつ薄肉軽量化を達成した自動車リアランプカバーといった特長のある製品を提供することで収益を拡大してきた。
 カーボンニュートラルの達成に向けて、MMAを含む石油化学事業を取り巻く環境は大きく変化しており、これまでにない技術や市場が現れる過渡期にある。同社では、強固な自社研究基盤を有する愛媛地区を中心として、ガラスや金属の代替として軽量化に資するアクリル樹脂について、新機能を持った材料の開発やケミカルリサイクル実証設備の設置などの取り組みを推進していく。
 また、海外ではアジアを中心としたグローバルな販売網を構築している。今回新たにMMA事業部を設置することにより、地域特性に応じた最適化を志向する段階から、製品群ないし地域を俯瞰したグローバルな全体戦略へと転換し、将来を見据えたさらなる事業発展を図っていく。

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