廃プラを直接原料モノマー化 三井化学、マイクロ波技術で

2021年11月22日

ゴムタイムス社

 三井化学は、マイクロ波化学と共同でこれまでリサイクルが難しかったポリプロピレンを主成分とする混合プラスチックであるASR(自動車シュレッダーダスト)やバスタブや自動車部品などに使用されるSMC(熱硬化性シートモールディングコンパウンド)などの廃プラスチックを直接原料モノマーにケミカルリサイクルする技術の実用化を目指した取り組みを開始した。
 同社とマイクロ波化学は、2017年に次世代化学プロセス技術の共同開発を推進するため戦略的提携を締結し、一部出資も含めて、強固な関係を構築しており、様々な化学プロセスへのマイクロ波技術の活用について検討を進めている。
 今回は新たに、ASRやSMC製品について、マイクロ波化学の開発するマイクロ波プラスチック分解技術「PlaWave」を用いて直接原料モノマーに分解するケミカルリサイクル技術の実用化を目指した取り組みを開始する。同技術で直接原料モノマーに分解することにより、廃棄プラスチックをオイルに戻してからモノマー化する油化手法よりもワンステップ少なくプラスチックに戻せるため効率的であるとともに、将来的に分解プロセスに使用するエネルギーを再生可能エネルギー由来の電気を使用することでCO2排出量の削減が可能にもなる。
 現在、初期検討を終え良好な結果を得たことから、21年度内にマイクロ波化学のベンチ設備での検証を行い、今後本格検討を進め、早期に実証試験を開始する予定としている。
 同社は、化学企業として社会に貢献し続けるため、2050年カーボンニュートラル目標を掲げている。また、気候変動とプラスチック問題を一体の課題として捉え、リサイクル技術・システムの開発とバイオマス製品ラインナップの拡充により循環経済の実現を目指している。なお同社は、リサイクル技術について、マテリアルリサイクル、ケミカルリサイクルの両技術を、今回のように優位な技術を有する外部との連携も視野に入れ、早期の社会実装を目指すとしている。

 

 

マイクロ波化学 施設外観

マイクロ波化学 施設外観

 

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