ポリアミド6コンパウンド開発 ランクセス、非強化で高難燃

2021年10月29日

ゴムタイムス社

 独ランクセスは10月27日、「デュレタンB30SFN31」を用いて、ガラス繊維非強化の難燃性ポリアミド66コンパウンドと同様に短いサイクルタイムで射出成形できるコスト効率の高い代替素材を開発したと発表した。

 同社の難燃性プラスチック専門家であるアレクサンダー・ラデック氏は「ランクセスが新しく開発したハロゲンフリーかつ難燃性を備えたポリアミド6コンパウンドは、低コストで大量生産が必要な薄肉部品に特に適している」とコメントしている。電気・電子産業の顧客との緊密な協力のもと、あらゆる色の作成が可能なデザイン素材が開発・最適化されており、配電盤や制御キャビネットでケーブルが接続される端子台に特に適している。

 熱安定性を備えたポリアミド6コンパウンドは、アメリカ保険業者安全試験所(UL)が策定する検査規格UL94燃焼性試験において、全色で要件を満たし、0・4~3・0mmの厚さの試験片でV―0クラスのテストに合格したため、ULイエローカードに「全色」と記載されている。「これにより、装置コストの面でメリットが得られる。ランクセスがお客様の希望に応じて着色したプラスチックをすぐに使用できるため、お客様自身で着色したり、UL認証を受ける手間や費用をかけたりする必要がない」と、ラデック氏は述べている。

 この新しい熱可塑性樹脂は、高電圧でも優れた耐トラッキング性を示す。600ボルトで高いトラッキング抵抗を示し、沿面放電による短絡や欠陥のリスクを低減する。これによりコンパクトなコンポーネント設計が可能となり、その結果、小型化が進む傾向に合わせて装置の小型化を進めることができる。このコンパウンドの利点の一つは、機械的な歪みに対する塑性変形能力の指標である高い破断点伸び率で、ラデック氏は「成形直後でも破断点伸び率が高いため、製造直後から部品を取り付けることができ、一体化されたスナップフィットでも勘合の際の破断が起こらない」と説明する。さらに、同素材は溶融流動性に優れており、非常に繊細な薄肉形状のコンポーネントの射出成形が容易になる。

 

配電盤などケーブルが接続される端子台に適している

配電盤などケーブルが接続される端子台に適している

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