半導体需要活発で増収増益 住友ベークライトの21年3月期

2021年05月19日

ゴムタイムス社

 住友ベークライトの21年3月期連結決算は、売上収益が2090億200万円で前期比1・2%増、事業利益は166億4200万円で同16・0%増、営業利益は199億1400万円で同93・6%増、当期利益は161億3900万円で同40・4%増となった。新型コロナウイルス感染拡大の影響による売上の減少があるものの、半導体関連の売上増加に加え、2020年10月7日の川澄化学工業の連結子会社化に伴う売上増加があったことから増収となった。損益については、半導体関連の需要活発化と自動車市場の復調に加え、期初から取り組んできた全社的なコスト削減活動により増益となった。
 セグメント別では、半導体関連材料は、売上収益が572億6600万円で同14・9%増、事業利益は94億3900万円で同22・8%増。半導体封止用エポキシ樹脂成形材料は、リモートワークの推進拡大に伴うパソコンやWi―Fi等の通信機器の販売増加、家庭用ゲーム機の出荷増を受けて好調に推移した。加えて車載用途の販売が回復したことにより、売上収益は前年を大きく上回った。感光性ウェハーコート用液状樹脂は旺盛なメモリー需要を受けて販売が堅調に推移したことにより、売上収益は増加した。半導体用ダイボンディングペーストは国内拠点に加え、中国拠点の生産・販売が順調に増加したことにより、売上収益は増加した。半導体パッケージ基板材料「LαZ」シリーズは、5Gスマートフォンの需要増加等で売上収益は増加した。
 高機能プラスチックは、売上収益が725億5900万円で同14・5%減、事業利益は34億9100万円で同14・1%減。新型コロナウイルス感染拡大により、世界各地の自動車工場では生産水準の低下を余儀なくされたことから、工業用フェノール樹脂およびフェノール樹脂成形材料は大幅な減収となったが、中国がいち早く生産活動を再開したことに加え、欧米での自動車販売が好転したことにより下半期には大きく改善した。航空機内装部品は、米国航空機メーカーにおける品質問題に加え、新型コロナウイルス感染拡大により移動の制限が長期化した影響で航空運輸業界全体が低迷しており、減収となった。
 クオリティオブライフ関連製品は、売上収益が785億8300万円で同10・4%増、事業利益が66億1300万円で同18・8%増。医療機器製品は、川澄化学工業をグループに加えたことにより、売上収益は大幅に増加した。バイオ関連製品は、新型コロナウイルス感染症の検査に関連したプラスチック容器類の需要増大、PCR検査関連部材の売上増大等により売上収益が増加した。ビニル樹脂シートおよび複合シートは、鮮度保持フィルム「P―プラス」を含む食品包装用途は外出自粛による巣ごもり消費の増加により販売を伸ばし、電子部品搬送用のカバーテープなど産業用フィルムも販売は堅調に推移したことで、売上収益は増加した。ポリカーボネート樹脂板および塩化ビニル樹脂板は、新型コロナウイルス感染防止用途としての飛沫防止板、医療用ゴーグル等で販売の増加があったが、主力の土木建材向けやエクステリア用途では住宅・建築工事の減少等により、売上収益は減少した。ヘッドアップディスプレイ向け光学カバー材は、自動車分野の復調に伴い売上収益は増加した。防水関連製品については、住宅向けの販売は下半期より回復してきたが、マンション向けでは新型コロナウイルス感染拡大への懸念から工事の延期が相次いだため、売上収益は減少した。
 22年3月期の連結業績予想は、売上収益が2300億円で前期比10・0%増、事業利益は190億円で同14・2%増、当期利益は145億円で同9・9%増を見込んでいる。

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