エンジニアリングプラスチックの摺動改質用添加剤「変性LUBMER®」

2021年03月09日

ゴムタイムス社

*この記事はゴム・プラスチックの技術専門季刊誌「ポリマーTECH」に掲載されました。
*記事で使用している図・表はPDFで確認できます。

特集1 多様な要求に対応する樹脂添加剤・フィラー活用法

エンジニアリングプラスチックの摺動改質用添加剤「変性LUBMER®」

三井化学㈱ 山田孝裕

はじめに

 超高分子量ポリエチレンは優れた滑り性、耐摩耗性を有するが、溶融粘度が高いため、一般的な成形加工が困難である。この超高分子量ポリエチレンの優れた滑り性、耐摩耗性を維持しながら、射出成形、押出成形を可能にした製品が「LUBMER®」である。一般的な超高分子量ポリエチレンが粉末状であるのに対して、「LUBMER®」はペレット状であるため、射出成形によるギアや軸受け、押出成形によるガイドレール、共押出によるゴム、エラストマー製の窓枠やガスケットの摺動層などとして使用されている。また、「LUBMER®」はその滑り性や耐摩耗性が優れているだけでなく、相手材によらず、きしみ音が小さい特徴があり、従来グリース塗布が必要とされた用途に対してグリースレス化できることから、省メンテナンスに貢献している。
 さらにこの度、「LUBMER®」をポリアミドやポリアセタール、ポリカーボネートなどから代表されるエンジニアリングプラスチックと混錬しやすく改良した「変性LUBMER®」を開発した。この「変性LUBMER®」はエンジニアリングプラスチックが持つ耐熱性や機械特性を大きく損なわずに、優れた摺動特性を付与する摺動改質剤として使用できる。
 以下「変性LUBMER®」をポリアミド樹脂、ポリカーボネートに添加した例について紹介する。

1. ポリアミド樹脂への添加例

1-1. ポリアミド樹脂について
 ポリアミド樹脂、特にポリアミド6(以下PA6と表記)とポリアミド66(以下PA66と表記)は汎用エンジニアリングプラスチックの中で、ポリカーボネートに次ぐ生産量であり、優れた耐熱性、機械特性、成形性などの特徴から、自動車、産業機器、電気電子用途のコネクター、スイッチ、カバーなど幅広く使用されている1)。このような用途においては、金属やプラスチックとの摩擦により、度々摩耗紛が多く発生する。ポリアミド樹脂は分子配向性が低く、分子間力が大きいため、摩擦時の発熱により樹脂が溶融し、ロール状の摩耗紛を発生することが知られている2)。そのため、摺動特性を上げるために二硫化モリブデンやPTFE、低分子量ポリオレフィンを添加した銘柄などが開発されている。しかしそれらは、黒色に限定される、機械特性が低下する、耐摩耗性や高温雰囲気下での耐久性が低いなどの問題がある。

1-2. PA6への「変性LUBMER®」添加例
 PA6と「変性LUBMER®」を用いて、メルトブレンド、射出成形を行い、物性測定を実施した。また比較対象として、一般的に摺動改質剤として使用されるPTFE(平均粒子径:12um)も同様に測定を実施した。摩擦係数、耐摩耗性を示す比摩耗量を図1、機械特性を表1に示す。
 「変性LUBMER®」はPA6の機械特性を大きく低下させることなく、PTFE添加時よりも動摩擦係数を下げることができる。また、大幅に耐摩耗性を向上させることができる。これはPA6に「変性LUBMER®」が微分散し、海島構造をとるため、島部の「変性LUBMER®」が摺動界面に介在することで、

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