専門技術団体に訊く2 団体インタビュー 日本プラスチック工業連盟 岸村小太郎専務理事

2021年02月25日

ゴムタイムス社

専門技術団体に訊く2 団体インタビュー
日本プラスチック工業連盟 岸村小太郎専務理事

プラスチック資源循環戦略を注力課題に

 プラスチック産業の健全な発展を目指し、業界の総合的問題・共通問題に対処する日本プラスチック工業連盟(姥貝卓実会長、以下プラ工連)。最近の取り組みを岸村小太郎専務理事に、同連盟の活動などを加藤英仁事務局長に尋ねました。

◆活動内容を教えてください。

 加藤:組織体制としては、大きく総務・環境部と規格部の2つがあります。規格部はプラスチックの国際標準化に向け、国から委託費をいただきISOやJISの規格を作る業務を行っています。
 また、総務・環境部は、環境などの問題を扱う上で、広報委員会、国際関係委員会、化学物質管理委員会、プラスチック資源循環委員会、環境委員会などがあり、幅広く取り組んでいます。
 現在、プラ工連の会員数は団体会員48団体、企業66社で合計114会員です。事務局は10人体制で運営しております。

◆団体の行事は。

 加藤:5月に総会があり、20年度は会長改選の年にあたります。また、会長改選の年には、2003年から定期的に約4000人を対象とした「プラスチックのイメージ調査」を実施しています。そのアンケート結果に基づき、新会長のもと4か年計画を策定していきます。
 また、プラスチック海洋ごみ問題に関するセミナーを年1回、化学品関連に関するセミナーを1回開催しています。プラスチック海洋ごみ問題のセミナーは大変関心を持っていただいている企業様が多く、毎回盛況です。一方、化学品関連に関するセミナーでは、プラ工連の会員企業様は大手企業が多く団体会員様は中小企業が所属していることが多いため、中小企業様向けのポリマーに特化した化学品管理などの情報を提供しています。

◆中学校への広報啓発活動を教えてください。

 加藤:広報啓発活動の一環として、プラスチックが中学校の理科の教材で取り上げるようになった時期から、中学校の理科の教師に対する広報啓発活動を行っています。
 東京都中学校理科教育研究会(以下、都中理)とともに、理科教師を対象にした工場見学会を年1回実施しています。今年は8月に工場見学を予定しています。この活動は、プラ工連をはじめ、塩ビ工業・環境会、日本化学工業会など8団体で活動し、プラスチック製品に関する理解を深めてもらうために「プラスチック教育連絡会」を立ち上げて取り組んでいます。
 最近では、同連絡会のカタログを集め、「『調べてみよう』プラスチック資料集」(写真1)を配布しており、この資料集は東京都の全公立中学校に配布しています。
 今年の4月には21年度から新しい教科書になります。それに合わせ、都中理の先生9人と我々団体で、副読本として中学校理科教授用資料「調べてみようプラスチック」(写真2)を作りました。一番の広報啓発活動は、教科書にいかにプラスチックを掲載してもらい、理解してもらえるかが重要だと思います。

◆最近の取り組みは。

 加藤:主に取り組んでいる活動として、プラスチック海洋ごみ問題解決とプラスチック資源循環戦略の実行が挙げられます。

◆プラスチック海洋ごみ問題について。

 岸村:プラ工連は1992年から、樹脂ペレット漏出防止に取り組んできました。そして、2013年にプラ工連に着任しました私は、環境団体との交流やクリーンアップ活動、プラスチック業界の国際会議への出席を通じ、「樹脂ペレットだけではなく、プラスチック製品全般を対象にした新たな取り組みが必要である」と強く感じました。当時は「ごみ問題は業界が取り組む問題ではない」という意見が主流でしたが、プラ工連の4か年計画(17~20年度)の策定に合わせ、「プラスチック海洋ごみ問題の解決に向けた宣言活動」などの新しい取り組みを行うようになりました。
 ペレットだけではなく使用済みプラスチックも含め、作る側から売る側、使う人までを含んだ人たちに、海洋プラスチック問題を知ってもらうことが重要です。
 今後も、プラ工連はプラスチック海洋ごみ問題の解決に向けて旗をふっていきます。

◆プラスチック資源循環戦略とは。

 岸村:プラスチック資源循環戦略については、昨年5月に国の戦略とは別に、プラ工連としてのプラスチック資源循環戦略を公表しました。
 プラスチックを一方的に悪者扱いするのではなく、プラスチックの特性や利点を理解した上で、必要なところに上手に使い、使用後は適切に処理・有効活用していくことが大事です。
 ただ、我々業界は製品開発をするときには、機能や品質とコストは重要視するけれども、後始末のことはあまり考えていなかったのではないでしょうか。今後は、使用後のことも考えた製品開発や販売の仕方などのビジネススタイルを変えていく必要があります。また、それを製品の機能や特徴にして欲しいです。また、単にお客様に売るのではなく、環境にいいものを提供し、普及に努める必要がますます求められてくるのではないでしょうか。

◆団体の課題について。

 加藤:プラ工連の会員は原料樹脂を生産する企業、それを購入しプラスチック製品を加工する企業、商社、関連団体などで構成しています。利害関係を超えて様々な議論ができることが特徴です。そのためにも会員を今よりも増やしていくことが課題です。とくにブランドオーナー様に加入していただけたら、新しい取り組も行うこともできます。おかげさまで、プラスチック海洋ごみ問題解決とプラスチック資源循環戦略に取り組んできた結果、年々会員数は増加傾向になっています。
 また会員数が増えれば、活動資金も増えますので、一般消費者向けの広報啓発活動をさらに取り組んでいけたらいいと思います。

◆20年の活動は。

 加藤:プラスチック資源循環戦略を実行していくワーキンググループを作り、活動がすでに始まっています。総務・環境部会には、プラスチック資源循環委員会がありますが、その下に再生材利用推進ワーキング、バイオプラスチックの利用推進ワーキングなどの4つのワーキンググループを作りました。各ワーキンググループが動き始め、2021年度内には、自主行動計画をまとめていきたいです。

*この記事はゴム・プラスチックの技術専門季刊誌「ポリマーTECH」に掲載されました。

本文:2570文字

専門技術団体に訊く2 団体インタビュー 日本プラスチック工業連盟 岸村小太郎専務理事

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