名大と日本ゼオンが共同で 高靭性・高強度なTPE開発  

2021年02月05日

ゴムタイムス社

  名古屋大学大学院工学研究科有機・高分子化学専攻(未来社会創造機構マテリアルイノベーション研究所兼務)の野呂篤史講師らの研究グループはこのほど、日本ゼオンとの共同研究で、世界トップクラスの高靭性を示す熱可塑性エラストマーを新たに開発したと発表した。
 熱可塑性エラストマーは、プラスチック、ゴム、繊維などを代表とする高分子材料の一つ。金属やセラミックスなどの硬い材料よりも軽量かつ、柔軟性・伸縮性・加工性も兼ね備えている。
 このため、熱可塑性エラストマーは、内装表皮、エアバッグカバー、ウェザーストリップ、ホースや絶縁カバーなど自動車の内装・外装部材を中心に、比較的柔らかく加工が容易なソフトな構造材料として利用の幅が広がっており、その世界市場は2兆円年ともいわれる。一方、強度や靭性という点では、金属などの硬い材料と比較するとはるかに劣るため、強靭さが求められる自動車ボディ関連部材などへの適用は限定的となっていた。

 今回の共同研究では、工業的に製造工程が確立されているスチレン系熱可塑性エラストマー(SIS )に化学修飾を施し、新規な熱可塑性エラストマー(iSIS)を開発した。
 従来型のSISでは、引張強度、タフネスはそれぞれ 9・1 MPa、112 MJ/m3 であったのに対し、開発したiSIS は 43・1 MPa、480 MJ/m3 とそれぞれ4倍以上の値を示し、

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