年頭所感 クラレ 川原仁社長

2021年01月06日

ゴムタイムス社
川原仁社長

川原仁社長

本年1月1日付を持ちまして代表取締役社長に就任いたしました。クラレグループを代表して新年のご挨拶を申し上げます。

 昨年初頭から世界的な新型コロナウイルス感染拡大が続き、今までとは違う形で年末年始を過ごされた方も多かったのではと思います。また生産工場ではこのような中でも安全で安定した操業を着実に続けて頂きましたこと、この場を借りて感謝申し上げます。いずれにおかれても、皆さんが無事に、清らかな気持ちで新年を迎えられたことを、願っております。

 さて、新型コロナウイルス感染拡大の世界経済への影響は今後もしばらくは続くと想定され、今年後半からの回復を期待する予測もありますが、まだ先行きは不透明といえます。移動や交流が制限される中ではありますが、出来ないことを嘆くのではなく、それらを解決する適切な手段を見出し、どうすれば新しい形、方法で目的を達成できるかを考え、実践することが求められています。グループ社員の力を合わせて、難局を乗り越えたいと思います。

◆世界の人々から「かけがえのない会社」として認められるように
 2021年度は、2026年に迎える当社創立100周年に向けて、翌22年度から始まる次の中期経営計画を策定する年にあたります。これまでに決定・着手した将来への仕掛け、戦略的投資を着実に遂行し成果を獲得するとともに、コロナ禍の影響で揺らいだ稼ぐ力の再検証を行ない、着実な収益力の向上を図る一方で、構造的に収益力に懸念がある製品や事業分野については本質的な改善、改革も辞さない姿勢で臨まなければなりません。
 次期中期経営計画に向けては、ITの戦略的活用によりデジタル・トランスフォーメーションを全社的な取り組みとして推進し、業務プロセスの改革や顧客起点の事業戦略を加速することで、競争優位の強化を目指します。
 さらには、持続可能な自然環境への貢献、生活環境の向上等の諸課題に対しても、企業としてどのように取り組むかという、サステナビリティの観点を十分に踏まえて策定の議論を進める必要があります。「世のため人のため、他人(ひと)のやれないことをやる」という当社創業以来の企業理念を具体的に実行し、クラレらしいやり方で社会への貢献を果たすことが求められます。クラレグループの皆さんの自発的、積極的な参画と活発な議論を経て、クラレグループがひとつになって進むべき方向性を示せるよう、充実した一年としましょう。

 ◆「安全で、安心して働ける会社」であること
 次にクラレの社長として、私がクラレグループをこのような企業体にしたいという考えを述べます。
 一つ目は安全に関して、です。「安全で、安心して働ける会社」であるということは変わることのない目標であり、メーカーである当社にとってその理念が変わることはありません。『安全はすべての礎』であること、そして社員が安心してそこで働ける会社であることが基本です。あらためて全てのクラレグループの皆さんが、安全で事故が起こらない会社を目指して仕事に取り組んでいただきたいと考えます。

 ◆前向きな意識と姿勢で活力と創造力のみなぎる企業に
 二つ目は、クラレグループが活力のある元気な企業体でありたいということです。環境の変化を機会ととらえ、我々自身も変化をしながら進化をする、向上力、突破力、たくましさが必要です。足元の状況に過度に一喜一憂せず、深く考え判断すること、迅速に行動すること、それらを可能にするための前向きな姿勢が大切です。私は、世界で活躍するクラレグループの皆さんには多くのポテンシャルがあると信じています。人間の能力は、自分や他人がここまでだと評価する限界よりもはるかに大きいと言われています。自分の能力、可能性を自ら決めてかからずに、前向きな意識と姿勢をもって、社外に対しても、社内においても、元気で活発な行動をとることで、色々な場面でイノベーションや変革に繋がるアイデアも生まれてくるものと考えています。皆さんにはクラレグループが活力と創造力のみなぎる企業体であり続けるためにも、是非、このことを心掛けていただきたいと願います。

 ◆「誇りをもって働ける会社」を目指して
 三つ目として、それは、皆さん一人ひとりが社会人・企業人としての高い倫理観と、コンプライアンスの徹底に対する強い責任意識を持ち、行動をしていただくことで、自分自身も成長し、会社も成長するような好循環を生む企業でありたいという事です。不正な手段を利用した取引をもって上げる売上・利益を絶対に許さないこと、ハラスメントの無い職場を目指すのは勿論のこととして、そのようなことが起こらない仕組み、職場環境を整備します。世界中で様々な個性、多様性を持った社員が、誇りを持って働ける会社であることを目指します。ヒトとその集合体である企業が、良き企業市民としての存在感を示し、価値を生むことで、世界の人々からクラレが「かけがえのない会社」として認められるようになりたいと考えています。

 2026年の創立100周年とさらにその後に続く将来を見通したクラレグループのあるべき姿を描き、実現するための努力をすることは、大きな挑戦であるとともに喜びでもあります。クラレの長い歴史の中でも、大きな節目となるであろう今後の数年間を皆さんとともに歩み、大きな目標に向かって邁進したいと考えています。

 最後になりますが、世界中のクラレグループの皆さんとご家族の方々にとって、本年が健康で幸多い年となりますようお祈りします。

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