【新年インタビュー】横浜ゴム 山石昌孝社長

2021年01月03日

ゴムタイムス社

 

山石昌孝社長

山石昌孝社長

■ 新年インタビュー

心機一転、新中計の目標達成に取り組む

横浜ゴム 山石昌孝社長


 

 中計「GD2020」の最終年度であった昨年、社会の変化に合わせて事業の統廃合など柔軟に対応してきた横浜ゴム。年末の記者会見で山石昌孝社長は20年の振り返りとともに、今年2月に発表を予定している新中計の方針などを説明した。

 ◆20年を振り返ると。
 昨年の経済状況は、国内外において、新型コロナウイルス感染症の流行により、特に我々が属する自動車産業を中心に20年12月期第2四半期は急激な落ち込みを受けた。夏には新型コロナウイルス感染低下による景気回復への期待感もあったが、早期の新型コロナウイルス感染症の収束を行った中国を除いて、今冬からの第3波による再拡大で経済の先行きも予断を許さない状況にあると考えている。

 ◆タイヤ事業の現況は。
 厳しい経済環境の影響により、20年12月期第3四半期までのタイヤ事業は、売上収益、事業利益ともに前年同期を下回る結果となった。
 新車用タイヤについては、国内で第2四半期に大きく落ち込んだ需要が8月以降は持ち直しつつある。ただ、挽回には至らず、売上収益、事業利益ともに前年同期を下回る結果となっている。
 市販用タイヤについても、高付加価値商品のさらなる拡販に努めている。しかし、19年来の暖冬の影響によって、年初の冬用タイヤの販売は低調に推移した。
 さらに、新型コロナウイルス感染症の影響にともなう消費活動の停滞で、需要が減少し、市販用タイヤ全体として売上収益、事業利益ともに前年同期を下回った。

 ◆MB事業やホース配管事業について。
 MB(マルチプル・ビジネス)事業は、第3四半期までの新型コロナウイルス感染症の影響で、全体として売上収益、事業利益とも前年同期を下回った。
 ホース配管事業は、建設機械や自動車向けのホース需要が戻っておらず、売上収益、事業利益とも前年を割り込んだ。工業資材事業については、海洋商品は増収増益だった。しかし、コンベヤベルトおよび土木資材は減収減益となった。
 ハマタイト事業は、国内工事の中断と自動車生産減の影響を受け、売上収益、事業利益とも前年を割り込んだ。
 航空部品事業では、官需は減収増益であったものの、民間航空機向けの需要が消失したことにより、全体で減収減益となった。
 ATG(アライアンスタイヤグループ)については、市販車向けはある程度の回復基調にあるものの、農機メーカー向けのタイヤ需要の減少とインド政府の指示による操業停止が響き、売上収益・事業利益ともに前年同期を下回った。

 ◆昨年を採点すると。 当社にとって20年を評価すると、コロナ禍という厳しい環境下にも関わらず、従業員が一丸となり、非常に頑張り対応してくれたと思う。そこは十分評価したいと考えている。しかし、その一方で、細かいミスも見られたので、あえて厳しく採点すると100点満点中70点としたい。

 ◆昨年の主な取り組みについて。
 当社では4月7日に国が発令した緊急事態宣言に先駆け、新型コロナウイルス感染症をリーマンショック以上の事態と捉えた。3月末の株主総会直後、速やかに社内の緊急事態宣言を発令し、そのあとすぐに「緊急事態対応プロジェクト」を立ち上げた。
 このプロジェクトでは過去の前例にとらわれず、固定費の見直しや販管費の削減、設備投資の凍結など機動的な資金調達を実施し、財務の安全性を確保した。
 特にこのタイミングでしか行えない、物流見直しによる国内営業拠点の大胆な統廃合とともに、遊休土地建物やゴルフ会員権の売却、事業構造改革、さらに英国プレミアリーグ「チェルシーFC」などの契約の見直し、OHT(オフハイウェイタイヤ)事業の統廃合など、多くの施策の実行を加速した。

 ◆通期の業績予想について。
 通期の連結業績予想は、昨年11月に修正値を公表した。その達成に

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