プラスチック関連団体インタビュー 日本プラスチック機械工業会 柴田稔事務局長

2020年10月28日

ゴムタイムス社

プラスチック関連団体インタビュー
日本プラスチック機械工業会 柴田稔事務局長

 一般社団法人化への準備進める

 プラスチック成形加工機械や関連機器・ソフトウエアなどプラスチック機械に関する国内唯一の専門団体である日本プラスチック機械工業会。柴田稔事務局長に、同工業会の歴史をはじめ、活動や取り組み、そして協力しているIPF Japan(国際プラスチックフェア)などについて尋ねた。

 ◆工業会の歴史を教えてください。

 1970年代のオイルショックを契機に、国内の景気が悪化しました。プラスチック機械メーカーも厳しい状況に陥りました。この時に政府の助成金の申請窓口が必要になり、競合の垣根を越えてメーカーが集って誕生したのが、日本プラスチック機械工業会です。設立は1975年(昭和50年)です。

 ◆工業会の取り組みや活動内容について。

 総会をはじめ、懇親会、賀詞交歓会などを開いて会員間の交流と情報交換の場を設けています。
 会員の皆様には、毎月プラスック機械に関する統計資料や業界関連のニュースをまとめた機関誌を配布しています。統計資料については経済産業省や税関統計をもとに、国内のプラスック機械の生産、輸出入などの統計を分かりやすく提供しています。機関誌については、国内外のトピックスを簡潔にまとめてニュースダイジェストの形で提供しています。

PL対応のラベル

PL対応のラベル

 また団体保険の募集をしており、現在は海外PL保険、国内PL保険など6種類の団体保険を契約しています。団体としてまとまるとリスクが分散されるので、保険料が下がるメリットがあります。
 そのほか、PL対応のラベルも配布しています。こちらも団体としてまとめて製作し配布すればコストメリットがあり、中小企業の会員様にとって利用しやすいものになっていると考えています。

 ◆最近の取り組みは。

 依田穂積会長(日精樹脂工業社長)が中心となり、会員の皆様に当工業会のメンバーになっているメリットをより感じてもらえるよう、新しい活動をスタートしています。2019年には初めて会員向けの勉強会を開催しました。同年4月にはオーストリアのENGEL社の社長を招き、ヨーロッパの機械メーカーの現状についてお話していただきました。12月には、欧州プラスチック業界におけるIoTの現状をテーマに開催しました。欧州はIoTの規格づくりが進んでおり、世界標準になっているのが現状です。この欧州の取り組みの勉強会を行いました。会員の関心が高いホットなトピックだったので、100人以上の方に参加していただきました。
 残念ながら今期は新型コロナの影響があって、準備していた勉強会を途中で断念せざるを得なくなりました。代わりになるようなオンラインでできる企画を考えています。

IPF Japan 2020 Virtual

 ◆‌IPF JAPAN(国際プラスチックフェア以下、IPF)について教えてください。

 IPFは国際プラスチックフェア協議会が主催となり、3年に一度開催しています。今年は開催の年で、幕張メッセで予定していましたが、新型コロナの影響により、幕張メッセの展示会を中止し、初めてバーチャル展示会を行います。期間は11月18~20日までの3日間です。会期中は、出展者には常にPC前にいてもらい、入場者からの問い合わせなどに対応してもらいます。出展者と入場者が相互でコミュニケーションが取れる場を作りたいと考えています。その後の継続期間は、会期中に来場できなかった人が見られるように、半年間情報を掲示するという2段構えで行います。バーチャル展示会のメリットとして、24時間オープンできるため、時差のある海外からのアクセスに対応することも可能です。このことは、バーチャル展示会ならではのメリットではないでしょうか。当工業会は、IPFの成功に向けて国際プラスチックフェア協議会に協力しています。

 ◆会員の増減について。

 会員数はここ10年ほぼ横ばいですが、IoTを活用した機械が増えることで新しい視点が出てきました。その結果、機械メーカーではなく、機械メーカーが採用するコントローラーやソフトウエアなどのメーカーの新規入会が増えています。
 当工業会は、1975年の設立当時から会費を一銭も上げていないのが自慢ですが、限られた予算の中でも勉強会などの新しい活動に積極的に取り組みこれからも会員の皆様のお役に立てるよう活動を続けていきます。

 ◆工業会の今後の展開は。

 ここ数年、海洋プラスック問題などが取り上げられ、プラスチックのイメージは良くないです。まずは誤解の部分は解いていき、バイオプラスチックやリサイクルなど川上・川下の業界団体とも協力してできることを強化し、情報発信や循環型社会に向けて官公庁からの後押しを促していきたいです。プラスチック業界も新型コロナの影響を受けていますが、医療や感染対策の用品やテイクアウト容器など伸びている分野もあります。マイナス面だけではなく、新しいプラスチック製品の使い道を色々なところでアピールしていきたいです。
 最後になりますが、当会はこれまで任意団体として活動をしてきたのですが、今後の活動を広げていくためには法人化(一般社団法人)が必要であると考え、準備を始めたところです。

*この記事はゴム・プラスチックの技術専門季刊誌「ポリマーTECH」に掲載されました。