注目のポリマー関連製品をピックアップ アクロエッジ

2020年10月27日

ゴムタイムス社

注目のポリマー関連製品をピックアップ
Vol.7 アクロエッジ 「小型疲労試験機Syclus(サイクラス)」

 分析・品質管理用途の機器を開発・製造・販売する㈱アクロエッジ(大阪府枚方市、中宗憲一社長)。今年7月に販売を始めた小型疲労試験機Syclus(サイクラス)の特徴や今後の販売方針などについて、取締役の中宗基裕氏や経営統括部ゼネラルマネージャー佐々木ひとみ氏、開発事業部研究員のアントンタンクィンティック氏に聞いた。

アクロエッジの社名の由来

──アクロエッジの概要を教えてください。

 1986年にセンテックの社名でスタートしました。しかし、国内外問わず同じ社名が多くありました。そこでオンリーワンの社名ということで、2016年4月にアクロエッジに社名を変更しました。
社名の由来は「Acro(アクロ)」は英語で最先端、「Edge(エッジ)」は鋭いという意味があります。この文字の通り、社名には「最先端でエッジの効いた技術を生み続ける」という意味が込められています。
主要製品は、樹脂硬化収縮率応力測定装置「Custron(カストロン)」、UV樹脂硬化度インラインセンサー「Curea(キュレア)」、表面改質度合測定インラインセンサー「Caisits(カイシツ)」などの各種装置に加え、そして小型疲労試験機「Syclus(サイクラス)」など引張試験機も手掛けています。
 納入先は大手企業が多く、キヤノン、パナソニックなどに納めているほか、大学や研究所などにも装置や試験機を使用していただいています。
ゴム業界ではブリヂストンに引張試験機やUV-LED照射装置を納入しています。また、他のタイヤメーカーや自動車ゴム部品メーカーにも当社の装置や試験機を使っていただいております。

Syclus(サイクラス)の特長と今後の展開

──注力するSyclus(サイクラス)を開発した経緯について。

 サイクラスは、当社が初めて作った高性能ポリマーおよび複合材用に設計された小型疲労試験機です。製品寿命の評価や材料が受ける変化の観察を目的とし、複数のサンプルを測定することで、品質の一貫性や欠陥部位に関する情報を得ることが可能です。
開発に当たっては、疲労試験機の権威である金沢大学の新田晃平先生をご紹介いただき、同大の新田研究室と共同で製品化しました。開発から製品化までの期間は2年程度です。

──サイクラスと他社の疲労試験機との違いについて。

 まず大きさが違います。一般的な試験機は基本的に金属の疲労を試験するために作られたものなので、非常に大型で重たいのが特徴です。
一方、サイクラスは、疲労試験機とデータ収集およびシステム制御用パソコン(専用ソフトウェア込)、コントローラーがセットで構成されており、疲労試験機(寸法)はL100mm×W250mm×H150mmで、重量は3kg。コントローラー(寸法)はL250mm、W250mm、H150mmです。
 このように、一般的な疲労試験機に比べてかなりコンパクトな仕様だということがお分かりになると思います。
 また、一般的な疲労試験機はクリープ感度が高く、高周波振動による加熱、弾性領域と塑性領域での挙動の違いなどの理由によって、ポリマーベースの試験には適さないケースがあります。このため、一般的な疲労試験機でゴムや樹脂のポリマーの試験を行う場合は、一部部品を付け替えて試験を行っていました。さらに、試験にかかる日数も20日間くらいあるので、1台で回してしまうと時間だけが過ぎてしまいます。
 ユーザーからそうした声を聞くなかで、当社でもできることはあるのではないかと思い、ポリマー専用に特化し、かつコンパクトなサイズで試験ができるというコンセプトで開発に至ったのがサイクラスになります。
 また、サイクラスは縦に積み上げることもできます。このため、複数台同時にポリマーなどの試験を行える上、狭いスペースでも顕微鏡などの計測器と一緒に使用できます。こうした点も他社との大きな違いであり、魅力といえるのではないでしょうか。サイクラスをお使いいただければ、生産性向上の助けになれると思っています。
 価格はお客様の仕様によって異なりますが、800~900万円です。一般的な大型試験機に比べると非常に安価といえますし、コストパフォーマンスも売りとなっています。

──性能面でのサイクラスの特徴を教えてください。

 基本的な機能にプラスして、フレキシブルにいろんなことができるということでしょうか。お客様のご要望に応じてハードウェアは自由な設計が可能です。
 基本的には位置と応力のデータとリサジュー曲線を描き出して、熱分析などをしたり、あとは計算式を入れたりしてみたいのであればそれも可能です。

小型疲労試験機Syclus(サイクラス)

小型疲労試験機Syclus(サイクラス)

──今後のサイクラスの販売戦略について。

 今年7月に販売開始したばかりなので、まだ実際納入した企業はありません。ただ、引き合いは多くいただいておりますし、実機を使ってサンプルテストするケースも増えています。
 サンプルテストは本社(大阪府枚方市)で実施しています
 まずは大学の研究機関や産業技術総合研究所などの工業試験所を中心に販売したいと考えています。その上でしっかりとしたデータが確認されれば、サイクラスは使えると企業様にも認識してもらえると思います。
 実際、サイクラスを見た大学の先生は、自動車分野をはじめ、建築分野でも使えるのではないかとの言葉をいただきました。ただ、そのためには、もう少し信頼性を蓄えることが大切になると考えています。

フレキシブルな開発が可能

──アクロエッジの強みを教えてください。

 他社がまだ取り組んでいないニッチな製品にターゲットを絞り、開発しているという点です。また、社員は15名と決して大きな会社ではありませんが、自社でハードからソフトまで全ての設計を手掛けているので、お客様の様々なニーズに融通が利く点も強みです。つまり、フレキシブルに製品を開発できる点が最大の強みといえます。大手試験機メーカーだと2~3ヵ月かかるところを2週間でできるとか、極端な話ですけどそれくらいフレキシブルな開発が可能です。

──サイクラス以外で注力している製品はありますか。

 UV樹脂硬化度インラインセンサーの「Curea(キュレア)」、表面改質度合測定インラインセンサーの「Caisits(カイシツ)」などです。

UV樹脂硬化度インラインセンサーCurea「キュレア」 III

 キュレアはUV硬化樹脂をガラスやフィルムを介してインラインで測定するUV樹脂硬化度確認装置です。2015年には「樹脂硬化収縮測定方法」で特許を取得しています。主な用途としては、フィルムの生産ラインやスマホの生産ライン、自動車部品の生産ラインで使用されるUV硬化型樹脂の硬化を判定します。
 キュレア導入前は、UV硬化型樹脂を使用する生産ラインでは、インラインで連続的に測定する手法は確立されていませんでした。このため、サンプルを抜き出すのに生産ラインを止める必要があったり、不良が出たら、それ以降の製品の品質保証ができなくなるといった問題がありました。

 一方、キュレアは、インラインで連続して測定でき、その場でOKかNGか判断できます。抜き取りした後にNGだったというケースもないため、歩留まりが減り、コスト削減や生産性アップにつながります。
カイシツはプラズマ処理、コロナ処理、フレーム処理など施した表面改質度合いをインラインで判別する装置です。
 現在、表面処理の検査方法では、処理されたフィルムを切り取り、ペンやインクのハジキ度合を見て処理の程度を判断するヌレ試薬ペンや、処理されたフィルムに液滴をたらし、その接触角を測定する接触角計があります。ただし、この検査方法では、フィルム生産現場では処理されたフィルムを切って検査するため、不良が発見された場合でも、すでに大量のフィルムが生産された後であり、歩留まりの悪化は避けられない状態にあります。

表面改質度合測定インラインセンサー「カイシツ」

表面改質度合測定インラインセンサー「カイシツ」

 こうした課題を解決するために開発したのがカイシツです。カイシツは表面処理の状態を非接触でリアルタイムに、そして定量的に測定することができるため、生産工程の高機能化を図ること可能です。

 カイシツはコントローラー、センサー、簡易ステージで構成されています。簡易ステージにはX軸ステージが付属しており、感度調整時にセンサー高さの微調整に役立ちます。
 このほか、カストロンはUV硬化樹脂・熱硬化樹脂・エポキシ樹脂・UV接着剤等の硬化に伴う硬化収縮率・収縮応力を連続測定できる樹脂硬化収縮応力測定装置です。UV照射→加熱→冷却など昇温、降温の熱プロファイルをプログラムにより自由に組み合わせ設定が可能です。2019年2月には、同装置を用いた測定方法が日本工業規格(JIS)K6941として制定されました。

樹脂硬化収縮率応力測定装置「Custronカストロン」

樹脂硬化収縮率応力測定装置「Custronカストロン」

──アクロエッジが今後目指す方向性は。

 当社製品のことをよく最先端とおっしゃっていただくことが多いのですが、時代のニーズよりも早く開発しすぎて、売れるのは数年後いったケースも多々見られます。代表がよく言うのは「やっと時代が追いついてくれたな」と。
 自動車産業を始め、産業界では様々な高機能製品、耐荷重部品に新しいポリマーや複合材を使おうという動きが強まっています。このため、ポリマーや複合材の試験依頼は今後増えると思います。まだ材料へ切り替わっていない会社が多いと思いますが、今後絶対切り替わるので、その時に当社製品が絶対必要になると考えています。

*この記事はゴム・プラスチックの技術専門季刊誌「ポリマーTECH」に掲載されました。

 

 

 

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