FFU生産工場を欧州に設立 積水化学、生産能力1・8倍に

2020年10月22日

ゴムタイムス社

 積水化学工業は10月20日、同社の環境・ライフラインカンパニーが、オランダにおいて、ガラス長繊維強化プラスチック発泡体「FFU」製まくらぎの生産工場設立を決定したと発表した。これにより、FFU製まくらぎの生産能力はこれまでの1・8倍に拡大する。

 同工場は2021年度上期に建築工事を開始し、2022年度下期に生産開始予定。オランダに所在する環境・ライフラインカンパニー管轄のグループ会社であるセキスイエスロン内に新設(延床面積4400㎡)し、FFU製まくらぎの原木を生産する。欧州での生産開始により、海外鉄道会社からのさらなる採用拡大を図り、2030年度にはFFU製まくらぎを柱とする機能材事業の海外売上高で100億円を目指す。

 また、市場・顧客ごとに製品仕様が異なるため、販売先の近傍で加工パートナーと提携し、欧州における需要に対応する。

 同社が製造する「FFU」は、軽量でありながら耐久・耐候性、加工性に優れるなど、天然木材とプラスチックの長所を兼ね備えた合成木材で、1974年の発売以降、さまざまな用途に展開、鉄道の枕木用途に採用されてから今年で40年を迎える。現在、日本国内において多くの鉄道会社に採用されているが、海外においても2003年に初受注を獲得し、以降、鉄道大国であるドイツ、イギリスなど需要の拡大が見込まれる欧州を中心に事業規模を拡大してきた。

 同社では、2017年EBA(ドイツ連邦鉄道庁)の本認証を取得。現在では欧州各国をはじめ、アメリカ、オーストラリア、中国など世界31カ国で販売実績がある。

 また、近年、環境配慮から高品質な木材の調達が難しくなっていることに加え、木材の防腐剤として使用されるクレオソート油が発がん性の危険からEUで使用禁止(鉄道分野は2023年から)となったことから、木製枕木の代替品として樹脂製まくらぎの導入が世界中で進んでいる。同社のFFUにおいては、特に軽量・高耐久が求められる分岐部や橋梁部分での採用が拡大している。

 

ドイツ国鉄での採用事例①

ドイツ国鉄での採用事例①

ドイツ国鉄での採用事例②

ドイツ国鉄での採用事例②

新工場の外観イメージ

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