英・NCCとの関係強化 帝人、複合材料業界に貢献

2020年08月03日

ゴムタイムス社

 帝人は7月30日、英国「National Composites Centre」(以下「NCC」)のメンバーとして、航空宇宙産業における次世代製造方法の開発プロジェクトを支援している同社グループのテイジン・カーボン・ヨーロッパ社(以下「TCE」)が、さらに大きな貢献を果たすべく、メンバーシップの位置づけをこれまでのアソシエイトからTier2へとアップグレードしたと発表した。これによりTCEは、NCCが有するより幅広い情報へのアクセスや、プロジェクトへの材料提供の機会を大幅に増やすことなどが可能となる。TCEは、同社グループの欧州における炭素繊維事業会社。

 NCCは、業種に関わらず全ての企業に最先端技術や専門エンジニアを提供している世界規模の研究施設。その一環として、複合材料において価値が高く、持続可能なエンジニアリングソリューションの採用を加速することに焦点を当てており、最先端のデジタル製造技術をオープンアクセスで提供し、研究レベルから大規模な生産までの技術を駆使した新しい複合材料製品の開発を行っている。

 また、NCCは「iCAPプログラム」の1つとして、高効率かつ低コストを実現して生産量を高めるデジタル自動積層技術に関する開発を推進しており、自動積層に用いる産業用ロボットを開発することで、航空機の翼の製造プロセスを大幅に短縮することが可能になる。この開発は航空機製造に革命を起こす可能性があり、エアバス社が主導する「Wing of Tomorrow」においても重要な役割を果たしている。

 今後、同社グループはTCEを中心に、「Wing of Tomorrow」やさまざまな航空宇宙プロジェクトに向けて独自のNCFや熱硬化性および熱可塑性プリプレグを開発し、NCCおよびそのパートナーをサポートするとともに、英国の複合材料業界に貢献していくとしている。

 同社グループは中期経営計画において、航空機向け炭素繊維中間材料の展開を「将来の収益源育成(Strategic Focus)」と位置づけており、幅広く用途開発を推進している。航空機向け炭素繊維製品のマーケットリーダーとして、ソリューション提案力を一層強化し、2030年近傍までに航空機用途で年間900百万米ドル超の売上を目指す。

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