アクリロニトリル・ブタジェン・スチレン共重合体樹脂(ABS樹脂)|汎用熱可塑性樹脂

2020年07月10日

ゴムタイムス社

【開発経緯概略】
アクリロニトリル(AN)とブタジェン(BD)、スチレン(ST)の3種類のモノマーの頭文字を取ってABS樹脂と呼ばれるが、実際には主としてブタジエン系のゴム(PBD、SBR、NBR)の存在下スチレン、アクリロニトリルをグラフト共重合して製造される。その他にAS樹脂とNBRをブレンドする方法なども行われている。ABS樹脂は、1940年代後半にUS Rubber社で開発された。

【性質、加工、その特徴】
① 非晶質で、不透明である。
② 剛性があり、堅牢で、機械的性質はバランスが取れている。
③ 引張り強さ、曲げ強さ、衝撃強さ、クリープ強さなどが優れている。
④ 耐熱性は一般的な成形品用途としては十分であり、荷重たわみ温度は100~110℃で、かつ耐寒性に優れている。また、耐熱性を高めた耐熱性ABSも供給されている。
⑤ 電気的性質に優れている。
⑥ 成形加工性に優れ、射出成形、押出成形、カレンダー加工、真空成形などあらゆる加工技術が適用できる。
⑦ 成形収縮率が小さい。
⑧ 表面光沢に優れ、任意の着色性も具備するので、外観部品としてデザインの多様性を与える。
⑨ 着色性・めっき性に優れる。
⑩ 酸・アルカリには極めて強い。
⑪ 極性をもつ樹脂、ゴムと良好な相溶性があり、ポリマーアロイ、ポリマーブレンドに広く利用される。
⑫ 耐候性は、長時間の直射日光により、表面変色と光沢低下が起こる。
⑬ すすを出して燃え、特臭がある。

【新製品への応用と主な用途】

全文:約900文字

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