その他のエチレン系コポリマー|汎用熱可塑性樹脂

2020年07月02日

ゴムタイムス社

【性質、加工、その特徴】
ポリオレフィンをグラフト変性または高圧法プロセスで共重合することで機能を持たせた樹脂である。主なものを以下に示す。
1)アイオノマー
エチレンとメタクリル酸との共重合体に、ナトリウムやマグネシウムなどの金属イオンを反応させ、常温でイオン結合による架橋を行う。
①低温シール性、熱間シール性などが良好で、自動包装の際のヒートシール性が良い。②溶融接着法によりアルミ箔、紙、ナイロンとの接着性が良い。③溶融延伸性、溶融強度に優れる。フィルムは弾力性、耐摩耗性があり、深絞り成形が可能である。④強靭性、耐低温性、透明性、耐ストレスクラック性、耐ピンホール性、着色性などに優れる。という特徴を持つため射出成形用途、ラミネーションやコーティング用途、フィルム・シートなどに幅広く使用されている。
2)エチレン-エチルアクリレート(EEA)
PE-LDの高圧法プロセスでエチレンとエチルアクリレートをランダム共重合させた樹脂で、EVAと似た特性を有するが、EVAと比較して耐熱性、低温特性が優れている。
用途は、電線被覆、ホットメルト接着剤、コーティング材、射出成形用途、フィルム用途などである。
3)エチレン-アクリル酸樹脂(EAA)
EEAと同様エチレンとアクリル酸の共重合樹脂である。EAAはEEAに類似した樹脂であるが、EAAは主に接着性ポリマーとして押出コーティングやフィルム用に独自の用途を持つ。EAAの最大の特徴は、アルミとの接着性に優れている点である。
用途は、湿布薬、ビジネスフォームである。
4)変性エチレン-酢酸ビニル共重合体(変性EVA)
EVAを加水分解するとEVOHになる。加水分解度をコントロールし、エチレン-酢酸ビニル-ビニルアルコール共重合体として幅広く用いられている。無色の粉末で、若干吸湿性があるが、耐油性、耐溶剤性に優れる。
物性はポリエチレンに似ているが、ユニークな接着性を持つ。
用途は接着芯地、瓶のコーティング、合せガラス、フィルム接着剤、ホットメルト接着剤、アルミキャップシールなどである。
5)エチレン(プロピレン)-無水マレイン酸共重合体
無水マレイン酸を含むポリエチレン(ポリプロピレン)としては、グラフト変性体と共重合体の2種が開発されている。ともに無水マレイン酸の接着性と反応性を利用した物である。同様な樹脂に、グリシジル基を持つビニル化合物との共重合体、グラフト変性物がある。
用途は共押出成形の層間の接着層、ポリマーアロイの相溶化剤など。
6)エチレン-酢酸ビニル-塩化ビニル共重合体
エチレン-酢酸ビニル共重合体の弾性に富むものを幹ポリマー、塩化ビニルをグラフトさせた樹脂である。EVAの割合で柔らかいものから硬い樹脂が得られる。軟質樹脂は、可塑剤を含まないため軟質塩ビに比べ難燃性、非移行性、耐寒性などが優れる。硬質樹脂は、耐衝撃性がABS樹脂と同等で、ABS樹脂やHIPS(PS-HI)より表面硬度が大きい。
用途は以下の通りである。
硬質材料;射出成形・押出成形製品、カレンダー成形製品などである。
軟質・半硬質材料、難燃電線、電車・自動車の屋根・防水シート、高級壁紙、無可塑押出品、シート、寒冷地用ブーツ、氷袋、自動車内装材、耐衝撃性向上剤などである。

全文:約1407文字

技術セミナーのご案内

ゴムタイムス主催セミナー