ゴム・ビニール手袋特集  作業用は耐切創手袋が好調 家庭用は機能+デザイン両立

2019年11月18日

ゴムタイムス社

 ゴム・樹脂製手袋の主な用途は、家庭用(園芸用含む)、作業用、医療用(手術用・検診用)があり、メーカー各社は様々な場面で求められる製品づくりに取り組んでいる。
◆家庭用手袋
 日本グローブ工業会の統計によれば、2018年度の家庭用手袋の国内販売実績は前年比0・6%減の9317万9000双で、3年ぶりに前年実績を下回った。素材別では、ビニール手袋は同0・2%減、ゴム手袋は同2・3%減、ニトリル手袋は同3・1%増となった。一方、使い切りタイプがメインの一般用極薄手袋は同5・5%増と伸長が続く。ユーザーの衛生面の意識向上と使用上の手軽さが受け入れられ、さまざまな場面で手袋の装着が定着している。

 家庭用では最近、機能性にデザイン性を加えた新商品が注目を集めている。代表的な商品は、オカモトの「カシニーナシリーズ」、エステーの「ファミリープリマ」、ダンロップホームプロダクツの「デイリープリーツ」など。オカモトのカシニーナシリーズでは、若い女性に人気の北欧調のデザインを採用した「カシニーナプリントタイプ」に続き、今年3月に手首のフィット感を向上させ、袖口のズレ落ちを防止する機能を持たせた「カシニーナフィッティドレス」を発売した。

 ダンロップホームプロダクツのデイリープリーツは、袖の部分がプリーツ状(スカートの折り目のようなひだが付いている)で、かわいらしさをPR。普段、家庭用手袋を使う機会の少ない若い主婦層の購入を増やしたい考えだ。

◆作業用手袋
 日本グローブ工業会によると、2018年度の作業用手袋の国内販売は合計で同3・2%増の1億3223万8000双で2年連続で増加した。
 景気が緩やかな回復基調にあったことや、JIS規格の改正で、工場や建築現場では安全性の高い作業用手袋へのニーズが高まっていることも販売を下支えする。
 安全性の高い作業用手袋では、耐切創手袋が伸長。各社は各社はEU(欧州連合)で切れにくさを評価する規格基準(EN388)で高カットレベルを保持しつつ、作業しやすい薄手商品の開発を競っている。
 ショーワグローブは今年3月に耐切創手袋の新シリーズ「デュラコイルシリーズ」で7種の製品を一斉発売し、従来のSTEXシリーズなどとともに、それぞれの特性を生かし拡販を図る。

 また、アトムもハイパーグリップスシリーズの「ケブラーⓇSD」や東和コーポレーションも「カットレジストシリーズ」などに注力し、耐切創手袋市場で販売拡大を進める。

◆医療用手袋
 医療用手袋のうち、手術用が同1・5%減の7794万9000双。手術用手袋は、天然ゴムに起因するラテックスアレルギーを誘発する問題から、昨年12月末に天然ゴムのパウダー付き手袋が供給停止になる中、天然ゴム製ではパウダーフリー手袋や合成ゴム手袋にシフトに需要がシフト。三興化学工業は、天然ゴムのパウダーフリー手袋や合成ゴム手袋への切り替えを進め、合成ゴム製では「サンコーシルキーフィットゼロ」「サンコーシルキーフィットコリウム」などシルキーフィットシリーズの販売が伸びている。

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