日本ゼオンの4~6月期 増収も営業益13%減 原料価格の上昇響く

2018年08月01日

ゴムタイムス社

 日本ゼオンは7月31日、東京・丸の内の本社で決算説明会を開催し、今井廣史執行役員が2019年3月期第1四半期連結決算の説明を行った。

 売上高は836億7200万円で前年同期比1・1%増、営業利益は84億5600万円で同13・0%減、経常利益は96億5800万円で同10・6%減、四半期純利益は66億5300万円で同5・0%減となった。

 売上高は、金額ベースでは同約9億円の増加。増収要因は、数量で約19億円のプラス、価格が約8億円のマイナスで、為替は約2億円のマイナスだった。

 数量要因については、エラストマー素材事業の販売が増加し、輸出向けの汎用ゴムや化成品が伸びた一方、高機能材料事業は光学フィルムなどの部材が低調だった。

 営業利益は、金額ベースでは約13億円の減少。増減要因は、数量が約7億円のプラス、価格は約8億円のマイナス、為替は約2億円のマイナス、原価は約2億円のマイナス、販管費は約8億円のマイナスで、減益となった。このうち価格がマイナス要因となったのは、エラストマー素材事業で合成ゴムの原料価格の上昇がフォーミュラとして製品価格に反映されるのが遅れたことや、化成品のSISで海外企業との競争が激しく原価に見合う価格改定が途上となっていることが響いた。

 セグメント別では、エラストマー素材事業は、売上高が509億2800万円で同3・5%増、営業利益は51億2300万円で同5・6%減。

 販売数量は、ゴムが9万1000tで同約8%の増量、ラテックスは3万1000tで同約4%の減量、化成品は3万7000tで同約17%の増量となった。

 ゴムの増量の内訳は、タイヤ向けの汎用が同約8%のプラス、非タイヤ向けの特殊用途で同約7%のプラスだった。

 汎用の国内は、タイヤメーカーが堅調で同約3%のプラス、海外はS―SBRの好調により同約11%のプラス。特殊ゴムは、国内が同約8%のプラス、海外はアメリカの内需回復によりシェールガス掘削機用途が伸び、同約7%のプラス。

 ラテックスの減量は、国内の需要家が定期修理のため生産調整を行った影響を受けた。

 化成品の増量は、SISがテープやおむつ用途が好調で同3割増となったほか、水島工場の定期修理がなく継続的に販売可能だったことによる。

 また、セグメント全体の減益要因としては、上昇した原料価格の製品価格への転嫁が遅れていることや、為替が円高基調で推移したことが挙げられる。

 高機能材料事業は、売上高が195億2200万円で同7・9%減、営業利益は33億9800万円で同17・9%減となった。

 高機能ケミカルの売上高は同約20%増、高機能樹脂は同約20%減、メディカル他は同約5%増。

 高機能ケミカルの増収の内訳は、化学品で約16%のプラス、電子材料で同約15%のマイナス、電池材料で同約57%のプラス、トナーで同約5%のマイナスとなった。

 化学品は合成香料や

特殊化学品が好調で、電池材料は韓国や北米、オーストラリア向けの産業用電池用途の販売が大きく伸びた。

 高機能樹脂の減収の内訳は、COP樹脂が同約8%のマイナス、光学フィルムは同約23%のマイナス。光学フィルムは大型テレビ向け、中小型向けとも顧客の在庫調整の影響を受けマイナスとなった。

 その他の事業は、売上高が138億3700万円で同7・6%増、営業利益は6億4300万円で同27・0%減。子会社の商事部門などの売上高が伸びた。

 通期の連結業績予想については当初予想からの変更はなく、売上高が3200億円で前期比3・8%減、営業利益は320億円で同17・7%減、経常利益は340億円で同16・9%減、当期純利益は240億円で同83・8%増を見込んでいる。

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