【ISO特集】2015年版ISO移行へ 継続的な維持・改善が課題

2017年02月03日

ゴムタイムス社

 2015年版ISOが発行されて1年以上が経過した。品質マネジメント規格のISO9001、環境マネジメント規格のISO14001は急速に普及したものの、事業活動とのかい離が指摘されていた。また、マネジメント規格ごとに用語の定義や規格の章立て・構成が統一されていないとの指摘から、改訂ISO9001/ISO14001では、共通化のために制定の指針を改正している。

 ISOは国際標準化機構が決めた国際規格であり、多くの企業が品質マネジメント規格であるISO9001と、環境マネジメント規格であるISO14001を取得している。

 公益財団法人日本適合性認定協会(JAB)によると、日本国内でのISOの取得件数は、ISO9001が約4万7000件、ISO14001は約2万7000件(17年1月20日現在)となっており、どちらも漸減傾向にある。

 なお、改訂された15年版ISO9001/ISO14001は、18年9月14日までに移行を完了させる必要がある。

 弊紙では、ゴム関連企業を対象にISO規格への取組みについてアンケートを実施したところ、品質管理体制の整備が進み、社員の認識が向上した一方、認証継続の審査に必要な費用、システムの構築・維持を負担に感じている企業もあった。主なゴム企業によるISOへの取組みを紹介する。

◆藤倉ゴム工業
 工業用品、精密ゴム部品から印刷材料まで幅広く展開する藤倉ゴム工業は、種々の問題や課題の解決ならびに法令順守への対応のため、顧客や競合他社の状況を踏まえて、本社、岩槻工場、原町工場、加須工場等の事業所においてISO9001/ISO14001を取得した。導入した結果、作業内容や工程の見直し、社員教育訓練の体系化、法令順守の対応ならびに品質、作業環境、生産性の向上に活用できたとしている。15年版については9001/14001どちらも移行するとしており、マンネリや形骸化を防ぎ、経営資源の変化にも対応し、継続的に維持、改善していくことが大切だと述べている。

◆アトライズヨドガワ
 顧客のあらゆるニーズに応えるため「AからZまでTRYする」という姿勢を社名に織り込んだアトライズヨドガワは、得意先の要請に応じて全事業所でISO9001/ISO14001認証を取得。同社では、ISO導入によって、社内プロセスの継続的改善に役立っているとしている他、環境に配慮しながら、事業所が所在するそれぞれの自治体の条例により、省エネ、省資源活動を積極的に行っている。15年版については、9001/14001とも移行を予定している。

◆岡安ゴム
 開発力・供給力・品質力・コスト力のベストマッチングを目指し、あらゆるニーズに応えるゴムのエキスパート、岡安ゴムは、グローバルで通用する規格取得が必須との顧客要求に応えるべく、本社および海外子会社オカヤスマレーシアでISO9001/ISO14001を取得した。導入の結果、品質、環境マネジメントシステムの運用が浸透し、全社員にPDCAサイクルを活用した継続的な改善が定着してきたという。15年版については9001/14001とも移行を予定している。

◆ユアサ化成
 小さくても光り輝き、チャレンジし続ける企業を目指すユアサ化成では、ISOマネジメントシステムを基盤とした経営展開を目的に、1998年に向日市事業所にてISO9002を認証取得(2003年にISO9001へ更新)し、2005年にISO14001を取得した。導入の結果、情報のオープン化と共有化が図れたとしており、15年版については9001/14001とも移行を予定している。

◆村岡ゴム工業
 ゴムリサイクルのエキスパートである村岡ゴム工業は、得意先からの取得要請を受け、再生ゴム及び粉末ゴムの製造を登録範囲に、本社、干潟工場、大阪営業所においてISO9001認証を取得。導入の結果、社内における品質管理体制が整備され、全社従業員の品質に対する知識、認識が向上したとしている。未取得のISO14001についても、取得検討を進めたいとしている。

◆五合
 工業用ゴム・プラスチック製品の販売を行なって半世紀以上の五合㈱は、特定の取引先から要請があり、2005年1月に名古屋支店のみISO14001を取得。翌年には全営業拠点で認証を取得した。グリーン購入法施行により、各取引先において「グリーン調達」が推進されているが、グリーンパートナー基準にIS014001認証取得を義務付けているケースが多々あり、認証を取得していることで安心して取引ができている。15年版IS014001についても移行する予定だが、認証継続(更新・定期)の審査に必要な費用、システムを構築・維持・改善するための社員工数及びその他経費を考慮した場合、将来的には経営判断で返上することもあり得るとしている。

◆竹原ゴム加工
 ハイテク技術を駆使し、ゴムの高性能化に挑む竹原ゴム加工は、ゴム練り生地の開発・設計及び製造、並びにゴム関係原材料・資材の販売を適用範囲に、岐阜県中津川市の本社において、2008年にISO14001を取得。環境マネージメントシステムを推進し、継続的な改善を行い、汚染の防止に努めている。また、ISO9001についても2010年に取得している。

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