新春TOPインタビュー 小里機材

2013年01月15日

ゴムタイムス社

 トライアングルグローバル経営実現へ 品質・コストを意識した6S活動推進

 「叩けば、開かない扉はない」「失ったものを、数えるのではなく、残っているものを数える」を基本方針とする小里機材。藤井直行社長に事業戦略を聞いた。

 ―12年を振り返って。
 藤井社長 当社の2012年6月期決算(2011年7月~2012年6月)は総括すると売上高は前期比30%減となった。タイ洪水、円高、欧州経済危機のなか、国内需要の落ち込みが大きく響いた。今期の2013年6月期決算(2012年7月~2013年6月)は足元、昨年9月の反日暴動以降、中国の「上海小里机材有限公司」の売上高が前年に比べ半減しているが、春先の雇用調整金補助もなくなりやや明るさが見えてきており、売上高は前期比2%減、収益は材料費の削減に注力し前期比プラス10%の増益を見込んでいる。 
 当社は日本国内(本社・葛飾工場、栃木工場、粟野工場)のほか、海外子会社にマレーシアの「マレーシア小里機材」、中国に「上海小里机材有限公司」を有するが、その売上高構成比は日本が50%、マレーシアが30%、中国が20%となっている。日本から原料を輸出、エアコン部品を加工し、日本に輸入している中国工場では賃金上昇に加え、人手が足りず、電気料金の高騰などの変動費の増加が収益を圧迫しつつある。

 ―経営方針は。
 藤井社長 当社の3カ年計画では製販ともども各部署の月次収支黒字化を図り、材料コストの10%削減、生産性15%アップを図ることを目標とし、収益性を常に追求しコスト意識を高めるため社員一人一人の能力アップを図る組織を全員で作り上げ、振れない組織をみんなで作る「共振経営」の徹底を図ってきた。  12年度の活動目標の柱として①品質やコストを意識した6S活動の推進②顧客ニーズにかなう知識・技能・技術力の醸成③グローバル人材の育成と活用④創意工夫によるエネルギー資源の節約・節制⑤環境に優しいモノづくりーを掲げ、「叩けば、開かない扉はない」「失ったものを、数えるのではなく、残っているものを数える」を事業計画としてきた。

 ―具体的な活動目標は。
 藤井社長 選択と集中によるドラスティックな構造改革を進めている。業態を広げるか、コンデンサーゴムに絞るか。また、今の世界情勢の中で、「いい数字」を出していくチャンスを実現していくにはトライアングルグローバル経営の実現が必要であると考えている。
 コスト競争力においてもマレーシアを開発拠点としてゴムの分析、ゴムの素材開発から金型開発、営業、技術支援をマレーシアに集中し、コスト競争力を高めるためにはグローバルな人材育成と活用が必要である。
 当社の主力商品である電解コンデンサに用いられる封口ゴムは身の回りの家電製品からスペースシャトルにまで使用されており、家電向け、自動車用の車載分野はじめ、電気自動車、太陽光発電などの次世代エネルギー分野でのコンデンサ需要の拡大に期待を寄せている。日本国内では本社・葛飾工場、栃木工場、粟野工場の3工場を有し、工業用ゴム成型品の製造、コンデンサ用封口ゴムの製造、コンプレッサー用防音カバーの製造、ホース・ベルト等の販売、その他関連製品の製造・販売を行っている。

 ―注力商品は。
 藤井社長 当社の独自技術開発製品であるMBコーティングはゴム製品、スポンジ製品、その他特殊材料にもコーティングが可能となった技術であり、ガスバリア性及び撥水性の向上、耐薬品性、電気特性、真空安定性に優れ、Oリング、シリコーンゴム、エラストマー、医療用、食品用ゴムへのコーティングとして広く採用されている。 自動車用のエンジン回り部材では日本製の評価が高く、高機能、高耐久性部品が求められており、乾電池でのOリング需要などまだまだ新規アイティムへの用途展開の可能性がある。これら主力製品の拡販とともに、海外生産へのシフトでトライアングルグローバル経営を実現し、グローバルで収益率を高めていきたい。

藤井直行社長

藤井直行社長