【新春トップインタビュー】金陽社 中田惠二社長

2016年01月04日

ゴムタイムス社

  「安全統括部」で事業所ごとに管理していた安全衛生システムを一元管理し、生産性・安全性ともにさらに向上させ、コスト削減を図る金陽社。中田惠二社長に次期中計骨子及び16年度の事業戦略を聞いた。

 15年を振り返って。
 今上期は中計3ヶ年計画に対して売上高はマイナスとなりそうで、下期でどこまで挽回できるかにかかっている。市場が小さくなり縮小気味の中で、15年度上期は増収増益となった。
 高品質のいい製品もでてきたが、前年上期と同様に円安に支えられた部分もあり、売上高は前年同期比で増加となった。

 部門別では。
 ロール部門では製紙用が厳しい使用条件に対応したカレンダーロールなどの需要が堅調に推移した。製紙用ロールの売上はまだまだ低く、高性能ロールを開発して増売につなげていきたい。
 印刷用はUV関係の受注がブランケット・ロールとも堅調に推移した。新聞用ブランケットでは他社にない製品、高品質製品に加え、営業努力の結果により、伸長したが今後は厳しさが予想される。
 ブランケットは輸出の比率が高いが、特に新興国では印刷物が増えているほか、中国、アジアでは高品質製品の需要が高い。
 OA機器用ロールは香港傘下の2工場で生産しており、円安で材料費が下がり、売上高は減少したが収益は確保した。総括すると国内ではブランケット、製紙、鉄鋼も顧客が減る中でなんとか販売を維持できた。 

 下期の需要見通しは。
 海外は若干プラス、営業利益は増えているが、目標は営業利益率5%であり、3ヶ年計画に対しては及第点は付けられない。
 下期の結果次第では、3ヵ年計画の及第点に近づくが、下期では当初計画に近づけるため予算目標を高めに設定して取り組んでいる。下期も引き続きUV用を中心とするブランケットに注力するほか、ロールではUV用と製紙用の販売を強化し、通期での増収増益を実現させたい。15年度は中期3ヶ年計画の最終年ともなっており、計画目標の達成に向けて、さらなる拡販と高品質の製品の開発に努める1年となった。

 新中計での基本戦略は。
 現在、次期3ヶ年の中期経営計画を策定中だが、基本的には現中計で掲げた「最良の製品、最高の品質、未来への挑戦」の基本理念を踏襲していく。具体的数値目標については、現中計での売上高はマイナスであり、次期3ヶ年でさらに上乗せを図り、営業利益率5%以上に再チャレンジしていく。

中田惠二社長

中田惠二社長

 「未来への挑戦」では、一昨年4月から営業部門に「フレキソ推進室」を設置しており、フレキソ印刷関連の開発・営業に注力している。フレキソ印刷用ゴムプレート版材「キンヨーフレックス」シリーズの販売も開始した。国産による迅速な納期対応と価格面でのアドバンテージを提供しフレキソ印刷分野の各ユーザーの選択肢を広げることで、フレキソ業界の発展を図っていく方針だ。今後の開発に当たっては、印刷品質とレーザー彫刻特性という2つのポイントを追求すべく、ダイレクトレーザー彫刻機を導入し版材の開発を加速させたい。
 また、「最高の品質」を維持、拡大するために、当社では、昨年10月1日付で「安全統括部」を設置、事業所ごとに管理していた安全衛生システムを一元管理することで安全面の強化を図る。これに関連して、国内4工場(竹原、美野里、岩間、滋賀)の設備の見直しも進めている。旧設備の更新、不良品をゼロにする新しい製造設備を導入し、生産性・安全性ともにさらに向上させ、よりコスト削減を図っていきたい。
 16年度も取り巻く経済環境は厳しさが予想されるが、需要が縮小する中、価格競争に陥らない、顧客の要求する高品質の製品を早く開発し、更なる売上げ拡大を図っていく。

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