タイガースポリマー渡辺社長 中国工場に建屋新設へ

2012年07月24日

ゴムタイムス社

 タイガースポリマー㈱の渡辺健太郎社長は、同社本社で記者会見を行い、12年度の事業方針などについて語った。渡辺社長は「震災やタイ洪水などにより、12年3月期業績は大幅な収益減となったが、本年度は自動車生産の回復、東北地域を中心とした復興需要の本格化などに期待され、メキシコ工場の建設、中国工場において、将来の生産ライン組み込みを想定した建屋の新設など、グローバル展開を一層強化して顧客満足度を高め、体質強化に努めたい」などと意欲を示した。
 ―足元の需要動向について。
 渡辺社長 前期(12年3月期)はの業績は東日本大震災並びにタイ洪水の影響により、自動車部品の需要が大幅に減少し、減収減益となったが、懸命かつスピーディな復旧策により、タイ工場は新年度の4月から通常の生産体制に戻り、本年度は国内自動車生産が回復し、部品需要も増大しており、順調な推移となっている。
 新年度の4月、5月はタイ工場の生産体制が整ったものの人材などソフト面の影響から、第1四半期は苦戦した。しかし、ハード・ソフト面とも早急に充実させることで第2四半期には大きな改善を見込み、上期の業績は増収増益を計画、下期も引き続き回復基調を見込む。通期の連結業績は売上高290億円、前期比6・9%増、営業利益12億円、同46・4%増、経常利益12億円、同33・9%増、当期純利益10億円、同130・6%増と大幅な収益改善を計画している。
 ―製品別には。
 渡辺社長 自動車部品は今申し上げた通り、大きな伸長となっている。産業用のゴムホース、シート製品は緊急支援の需要が一段落しており、前年比でやや弱含みで推移している。好調な自動車部品ではあるが、今夏には販売支援策の補助金制度が終了する見込みで、新車販売の影響が懸念される。一般産業用は東北地区の復興需要の本格化が下期以降期待される。
 ―本年度の事業方針について。
 渡辺社長 新製品開発と新規事業の創出、そして新興国市場の開拓、中国子会社の増強とメキシコ工場の建設を営業戦略とし、生産戦略では工場稼動率の向上や材料見直しによるコスト削減、さらに原材料のグローバル調達化によるコスト削減などを積極推進する。
 メキシコ工場については専任スタッフが赴き、間もなく建設着工する。完成は来年4月の予定で、2014年6月をめどに操業する計画で進めている。中国工場は、現在の建物が4800平方㍍でフル生産を続けており、製品在庫のスペースが足らないことから、隣接地に6600平方㍍の建物を本年度内に建設する。
 新設の建物は当面は倉庫として活用するが、2015年以降には新たな生産ラインを導入する計画で生産工場としても活用する。
 本年度の設備投資額は約20億円を計画しており、このうちメキシコ工場関連は第1期として約4億円を充てる。
 ―今後の課題は。
 渡辺社長 国内市場においては、簡単に新商品が開発できるわけではなく、ニーズの先取りで研究開発は進めているが、自動車関連需要は海外に需要が移っており、国内では高機能化で他社に負けない技術の蓄積が重要だ。
 自動車において金属部品の樹脂化によるビジネスチャンスはまだ有望で、吸気系以外の部品でもカーメーカーとの共同開発を積極的に進めている。海外では今後、より多くの自動車メーカーとの取引を拡大させていきたい。
 一般産業用品についても需要は海外で拡大しており、ホースやシートなど汎用品の海外展開も今後の大きな経営課題だと考えている。

渡辺健太郎社長

 

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