専門技術団体に訊く20 団体インタビュー
強化プラスチック協会 山中豊統括部長

2025年で創立70周年を迎える
FRP産業の振興と育成活動に更に注力
2025年に創立70年を迎えた強化プラスチック協会は、繊維強化プラスチック(FRP:Fiber Reinforced Plastics)の技術の発展と普及に寄与しFRP産業に大きく貢献しています。山中豊統括部長に協会の歴史をはじめ事業活動、協会の課題、70周年記念事業などについて尋ねました。
──強化プラスチック協会の歴史について教えてください。
当協会は、1955年(昭和30年)4月1日、高度経済成長期の入り口に立つ日本で、強化プラスチック産業の我が国における急激な需要に応えて、東京大学工学部 林毅先生が会長となり設立されました。ポリエステル研究会が母体となって設立され、当時は、終戦後の困難な状況の中で、新しい産業技術の可能性を模索していた時代でした。最初は「強化プラスチック技術協会」でしたが、2年後に「強化プラスチック協会」に変更されました。FRPの可能性を追求しながら、日本のFRP産業の基盤を支えてきました。2013年4月に社団法人から一般社団法人に移行しました。そして2025年(令和7年)4月1日に創立70年を迎えることができました。

FRP CON-EX 2025 講演A 会場風景
──具体的にどのような事業活動を行っていますか。
私たちの事業活動は、まさにFRP業界の総合的な発展を目指すものです。
まずは、創立の年から発行している協会誌「強化プラスチックス」があります。1955年9月に第1号が発行され、1956年から年6回発行し、1971年から毎月発行しています。協会では、話題性あるテーマや将来性あるテーマについての特集、解説、論文、製品紹介、報告、シリーズ解説等のカテゴリーで国内および海外情報を含めた会員への情報発信の役割があります。コロナ禍の中でも毎月発行し続けました。
また年に一度開催されるFRP総合講演会・展示会(FRP CON-EX)もあります。2025年の70周年記念大会としての「FRP CON-EX 2025」は、約2,200名もの参加者を集め、講演や展示会のなかで最新の技術や製品を紹介しました。そのほか、セミナーとしてのFRP入門講習会も、若手技術者の育成や最新技術の普及に大きく貢献しています。
特に私たち協会の大きな特長は、産学官(企業、大学・研究機関、経済産業省、国土交通省他)のネットワーキングです。会員は、特別会員7社、一般会員89社、個人会員4人、学識会員60名(正、賛助)、合計160組織・人(2026年1月現在)の構成となります。
国際交流事業も重要で、国際交流委員会で海外の先進的な技術や研究の情報を入手して、協会誌で会員に発信し、併せて日本の技術を世界に発信しています。

FRP CON-EX 2025 技術交流会風景
──現在、業界や協会が抱えている課題は。
FRPの国内出荷量は、1996年(平成8年)の約48万トンをピークに、2024年には約18万トンまで減少し、ピーク時の40%以下となっています。ここでのFRPはGFRP(ガラス繊維強化プラスチック)ですが、世界的にはGFRPとCFRP(炭素繊維強化プラスチック)の複合材料(コンポジット)市場が拡大している一方で、日本国内のGFRP市場の縮小は残念な状況です。
特に炭素繊維は日本発祥の技術であり、CFRPについては新製品開発と市場が拡大中ですが、日本国内でのより一層の拡大が期待されます。かつての国内FRP産業の隆盛期と比較すると、協会の会員数は減少していますが、会員のニーズに応えるため、毎月発行の協会誌、会員メール、協会ホームページを通じて、タイムリーな情報提供に努めていきたいです。
またWEBによる海外情報収集が容易になった現在でも、協会誌を通じたグローバルな情報発信を継続しています。さらに、カーボンニュートラル、サーキュラーエコノミー、持続可能性の実現に向けて、環境対応活動、GFRP・CFRPのリサイクル推進、天然由来の樹脂・繊維の開発と市場拡大に注力しています。
デジタル化への対応も避けて通れません。情報・編集委員会で議論を重ね協会誌のデジタル化の継続検討と併せて、協会ホームページの会員頁新設による会員サービスのさらなる充実を図っていきます。
また、AI活用については、昨年11月に新春座談会『AIを用いた強化プラスチックのモノづくり』を実施し、今年の協会誌1月号に掲載済みです。ちなみに、創立70周年記念出版誌の表紙・裏表紙は生成AI活用によるデザインになっています。

FRP CON-EX 2025 展示会場全景
──70周年記念事業について。
2025年で協会創立70周年を迎え、70周年を記念してFRP総合講演会・展示会(70th FRP CON-EX 2025)を盛大に秋葉原UDXで10月29日、30日に2日間にわたり、開催しました。創立60年の時もそうでしたが、10年に一度周年事業として大きな講演会・展示会を開催しています。
70th FRP CON-EX 2025のテーマは「持続可能な未来社会へ、軽くて強い長持ちするFRPの出番です」でした。
並行して、70周年記念出版誌『FRP70年の歩み ~直近10年間の進展と今後および用途事例集~』の発行(記念出版誌表示)と70周年記念表彰を行いました。
今回の70th FRP CON-EX 2025での特別講演とキーノート講演で、土木・建築関連で道路、橋梁、下水道管、上水道管のインフラの老朽化が全国各地で大きな問題となっており、その老朽化対策としての補修・補強面や管更生等で、また、巨大地震対策の防災・減災面でFRPの役割が大きいことが示されましたし、70周年記念出版誌の直近10年間の進展と今後にも記載されていますように、正にこの分野でFRPの出番であると言えます。
──今後、協会はどのような展開を考えているのでしょうか。
会員の皆様のご期待に応えるべく、強化プラスチック産業の振興と育成活動に引き続き努めてまいります。協会誌およびウェブサイトを通じて、最新の製品や技術情報を国内外に発信し、熱可塑性樹脂、天然由来樹脂・繊維の取り込み、CFRPを含む関連の学・協会・団体等との連携を強化しつつ、グローバルな交流を深めることで、業界の発展に貢献してまいります。
昨年70周年の諸記念事業を無事終え、次の80周年に向けて、事務局一同、より一層の努力を重ねていきたいと考えております。また、会員のニーズに応える情報提供、海外との技術交流の促進、デジタル化の推進、環境対応技術の研究・開発支援を柱に、業界の発展に貢献してまいります。

FRP70年の歩み
*この記事はゴム・プラスチックの技術専門季刊誌「ポリマーTECH」に掲載されました。
