【新年インタビュー】ENEOSマテリアル 志賀智社長

2026年02月03日

ゴムタイムス社

■ 新年インタビュー

現場力と顧客密着の強み活かす

ENEOSマテリアル 志賀智社長

ENEOSグループにおける素材事業の中核として展開するENEOSマテリアル。昨年社長に就任した志賀智社長に25年を振り返りつつ、今後の方向性、26年の抱負などについて聞いた。

◆25年を振り返ると。
 社長就任にあたり、個人として石油精製業界の経験が長く、新たな挑戦をした年であった。製造部門出身で、営業やお客様訪問が中心ではなかった自分にとって、業界理解も含め、積極的にコミュニケーションを図ることを務めた。それは社外のお客様の訪問に加え、社内でも場を設けてコミュニケーションを取り、数字だけでは掴めない事業の肌触りあるリアルな情報収集を行った。
 業績面では、上半期を振り返ってみれば、売上の半分以上を自動車関連が占める中、日本の自動車メーカーは中国などを中心に苦戦局面もあり、ビジネス環境は決して簡単ではなかった。それでも上半期の決算を締めてみれば、為替や市況の影響もあったが、一定程度の収益は確保できた。ただし、25年は事業環境が大きく変わりはじめ、関税など外部環境の変化が現実味を帯び、従来の最も効率の良い拠点から出荷するといった前提が揺らぐなか、難易度は上がってきていると感じる。

◆今後の方向性について。
 環境に配慮した高性能タイヤ材料であるSSBR(溶液重合スチレン・ブタジエンゴム)と、二次電池向けの電池用バインダーの2本柱は変わらない。
 またENEOSグループの主要会社の立ち位置になったことで、しっかりと規模を大きくしていく必要がある。この規模は売上高だけではなく、収益も含めて強くする取り組みをしていく。今まではENEOSの機能材事業やENEOSマテリアルのエラストマー事業は事業環境が縮小するなかで、強靭な力をつけることが重要だった。しかし、それを反転攻勢していく。これが規模を大きくしていくことに繋がると思っている。反転攻勢の具体的な取り組みのひとつに、25年発表した四日市工場におけるSSBR生産能力の増強だ。

◆ENEOSマテリアルの強みは。
 まず挙げるとすれば、日本の素材を支えてきた企業として、現場力が強みだ。現場が真剣に日々の改善活動に取り組んでいる点は、容易に失ってはいけない、風化させてはいけないと強く感じている。
 その現場力と表裏一体で、素材メーカーとしての顧客との距離も強みになる。我々は最終製品を作るのではなく、お客様が高性能タイヤや樹脂製品を作るための素材を供給する立場である以上、お客様が何を考え、何を求めているのかをタイムリーに汲み取り、研究や商品開発へ落とし込む力が競争力の源泉になる。同じ製品を安定的に供給し、コスト・納期・品質への要求に応える基盤を守りつつ、タイヤメーカーなどと切磋琢磨してより良い商品を作りだしていくことが期待されている。

◆現状の課題について。
 付加価値を高める戦略商品(SSBRや電池用バインダー)をさらに磨き上げ、そして次に続く新しい商品を生み出さなければ将来は伸びない。そのために新規事業をいかに開発していくかが、ひとつの課題になってくる。
 基盤事業の製品については、ENEOSがクラッカーを保有している。これはENEOSグループに属している大きなメリットであり、シナジーでもある。これは、クラッカー側からの視点と、合成ゴムの事業として視点の両方の視点を持つことができる。この両方の視点から厳しい環境を乗り越えていきたい。

◆26年の抱負は。
 非常に読みづらい、予測がしづらい混沌な状況になっていることは間違いない。その混沌の中で問われるのは、機動的に事業を運営できるかどうかであり、それこそが会社の競争力であり強みになる。昨年と同じことを繰り返していれば、環境変化の中で気づかぬうちに自分だけ違う方向へ向いていたという事態が起きかねない。だからこそ、日々改善し続け、変化の激しい状況を社員全員で乗り切る一年にしたい。

志賀智社長

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