【新年インタビュー】藤倉コンポジット 森田健司社長

2024年02月06日

ゴムタイムス社

■ 新年インタビュー

工場再編で実行力が問われる年に

藤倉コンポジット 森田健司社長

 藤倉コンポジットは各種工業用ゴム部品のほか、幅広い分野で複合化技術にさらに磨きをかけて展開する。森田健司社長に23年度の業績を振り返りつつ、スポーツ用品部門、新成長戦略の投資、新年の抱負などを聞いた。

■第2四半期を振り返って。
 主力の産業用資材のうち、工業用品部門は自動車関係を含め、コロナ禍からの回復には時間を要しているが、下半期から回復してくると見込んでいる。コロナ禍以前の受注量には戻るのはまだ時間がかかりそうだ。また住設関係の需要も厳しく、特に中国の景気低迷の影響を受けている。制御機器部門の液晶・半導体関連では受注が減少。その結果、産業資材事業の利益率が低くなった。オフセット印刷用ブランケットは事業撤退を発表した後、既存のお客様からの受注が増加し特需が発生した。

■スポーツ用品部門について。
 今年でスポーツ用品部門は50周年を迎えた。アフターマーケットに特化する施策が功を奏し、高い利益率を維持している。また高品質で操作性が良いシャフトを毎年発表し、それがツアーに受け入れられ、各国のプロツアーでトップシェアを維持している。さらに、「VENTUS」は昨年からアメリカ仕様日本でも発売され、また日本仕様をアメリカで発売することで、多くのユーザを獲得できた。

■新成長戦略の投資について。
 DX投資は、数年間、検討していたソフトウェアを最終的に決定し、25年度までには導入する計画になっている。
 次に小高工場の再稼働に向けた新規投資だ。24年8月頃にゴルフシャフト製造ラインを移設していく。また炭素繊維強化プラスチック(CFRP)製産業用品の製造ラインも移設し、今後成長が見込めるCFRP製品に注力していく。
 原町工場も24年度から投資を行い、日本初のワクチン部材の生産を開始していく計画だ。
 23年8月には、シンガポールのFu Yu社と業務提携した。プラスチック射出成型分野など、相互に販売・技術協力を行っていく。

■中計の進捗状況は。
 コロナ禍以外で当初予測できなかった海外の影響があった。当社においてはオフセット印刷用ブランケットの撤退を発表した。売上は減収になる可能性があるものの、利益は確保できると見込んでいる。今後もより利益重視の戦略を行い、赤字の製品があれば受注辞退をしていくという考えもある。事業の再編も視野に入れながら企業活動を行っていく。

■通期の見通しは。
 中国関係の受注は若干回復し、計画よりも上回っている。ただ、中国の経済状態が良くない。24年度は世界景気の動向にもよるが、予断を許さない状況だ。

■23年の当社主催のゴルフ大会について。
 23年4月に開催された東北ジュニアカップでは、福島県の小学生から高校生まで約80人が参加していただき、非常に盛り上がった。24年も開催していく。また23年はスピーダーチャレンジも開催し、当社シャフト使用の女子プロゴルファーが優勝した。2023年から、当社アイアンに替え、距離感と方向性が安定したと聞いており、来シーズン期待される。

■24年の抱負は。
 24年度は躍動の年と思っている。工場の再編など様々な投資がスタートする年であり、実行力が問われる年でもある。ステップバイステップで進んでいきたい。

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