活躍するリケジョ014 バンドー化学 ㈱ 吉田有沙さん

2023年12月15日

ゴムタイムス社

活躍するリケジョ014 バンドー化学 ㈱

ものづくりセンター 生産技術開発部 製法開発グループ 吉田有沙さん

「スマートものづくり創造」の実現を目指す
生産情報や品質データの見える化でIoTやDX推進

 バンドー化学は、2023年度~2030年度までの中長期経営計画「Creating New Value for the Future(以下、CV)」を策定。2023年度~2026年度までを第1ステージ(CV-1)とし、「価値創造」、「スマートものづくり創造」、「未来に向けた組織能力の進化」の3つの指針を掲げています。その指針の1つである「スマートものづくり創造」との関連が強い同社ものづくりセンター生産技術開発部の吉田有沙さんにお話を聞きました。

◆現在、所属する部署を教えてください。

 生産技術開発部は、主に既存製品にコスト競争力を与えるための生産方式の開発と、新製品に関する生産技術開発を行っています。私が所属する製法開発グループは、年齢層が幅広いのですが、入社2年目の私を含めて20代の若手も多く活躍している部署だと思います。

◆部署では、どのような仕事を担当されていますか。

 今年度よりスタートした中長期経営計画の第1ステージでは、3つの指針があります。その指針のひとつである「スマートものづくり創造」を実現するために、IoTやDX推進に力を入れて取り組んでいます。製法開発グループでは、いくつかのグループに分かれ、それぞれの課題に取り組んでおり、私は、生産情報や品質データの見える化に携わっています。
 例えば、現場でモーターが故障してしまうと、設備が止まってしまう場合があります。そこで、見える化やAI分析を活用してモーターが止まる前に何らかしらの予兆を検知することなどを検討しています。データを見える化し、分析することによって、より良い製品を効率的に作ることを目指したいと考えています。

◆仕事のやりがいについて。

 私自身は入社2年目で、まだまだ実務の経験は浅いですが、現場で自分が作ったプログラムを実際に使っていただいているのを見たとき、お役に立てて良かったなと思い、そのときに仕事のやりがいを感じます。
 また、「スマートものづくり創造」を進めていく中で、それを担うデジタル人財の育成がスタートしています。スタートしたばかりのため、課題はたくさんありますが、私を含めた生産技術に携わる技術者が教育を受けながら、技術を高めています。ゼロから新しい取り組みの課題に携わっていくことになるため、刺激があり、とてもやりがいがあります。

◆仕事をする上で心がけていることや、入社してからの仕事の変化がありましたら教えてください。

 自分自身が仕事を楽しんでやることです。入社した当時、上司から「仕事は、大変なこともあると思うけど、一番は仕事を楽しんでやってほしい」と言われました。ただ単に言われたからやるという考えではなく、仕事を楽しめるように、主体性を持って仕事に取り組んでいくことを心がけています。
 入社1年目と2年目では、仕事に取り組む姿勢が変わりました。1年目の時は、本当にわからないことだらけで、全部聞いたりしていました。しかし、2年目では、まずは自分で準備してから仕事に取り掛かり、自分で考えて動くようになりました。また、上司に提案する際にも、1年目では躊躇することもありました。しかし2年目に入ると、仕事もだいぶ理解できるようになり、積極的に提案ができるようになりました。

◆現在の職場環境について。

 生産技術開発部は雰囲気がとても良く、部長やグループ長、同僚など、コミュニケーションが取りやすい環境です。課題に行き詰った時でも、相談しやすく、みんなで協力して課題解決していこうという姿勢があります。最近では、設備の立ち上げがあったのですが、コロナの影響で部品の納期が遅れてしまい、かなりの短期間で設備を作り上げなければいけない状況となったことがあります。もちろん、この設備は期間内に作らないといけなかったため、部署総出で取り組み、私も制御盤を作らせていただいきました。そのときは、実践で仕事を覚えながら作業を行っていましたが、期限に間に合うように、生産技術開発部の人たちが協力しあったことで、無事に設備を立ち上げることができました。

◆学生の時、理系の道に進んだきっかけは。

 高校から理系科目が好きで得意でした。また、医療やヘルスケア機器に関心がありました。大学では電気系を専攻し、電気系の基礎知識とプログラミングを学びました。大学時代に取り組んだ実験の一つで、レゴで作った車を、C言語を使って制御するという授業がありました。そこでは、アルゴリズムを考えて自分が思ったようにレゴの車を動かすことができ、とても楽しく印象に残っています。その授業がきっかけで、プログラミングの興味の幅が広がりました。大学の研究では高校から関心があった医療やヘルスケア機器に関する研究が行える研究室に所属し、「高齢者の転倒転落の早期発見と予兆検知」の研究に携わりました。
 
◆仕事を選んだ理由は。

 就職活動を行うなか、当社が医療機器・ヘルスケア機器の分野も取り組んでいることを知り、会社説明会に参加しました。その際、採用担当の方がすごく丁寧で、雰囲気が良く社風を聞いているうちに、働きたいと思い、入社しました。実際に配属されたのは、医療機器の開発を行う部署ではありませんでしたが、配属された生産技術開発部でとても満足しています。配属されるまで生産技術という仕事のことをよくわかっていませんでしたが、実際に仕事をしていくうちに、自分が今までやってきた電気系の知識やプログラミングもなどが活かせる仕事であると思いました。

◆今後、どのような開発をしていきたいですか。

 品質・製造データの見える化でデータを扱うには製品や製造設備の知識、また製造に関するノウハウなど、様々な知識が求められます。そのため、電気系の知識はもちろん、化学系や機械系の知識など幅広い知識を習得していきたいです。
 また現在、勉強させていただいているIoTやDXの技術を使って、生産性や品質の向上を目指していきたいと考えております。さらに、現場のオペレーターさんの負担軽減できるようなシステムの開発をしていけたらと思います。

◆お休みの日に何をされているのか、教えてください。

 中学、高校、大学とテニスをやっていました。社会人になってからは、なかなかテニスの時間がとれませんでしたが、最近、大学時代の同級生と一緒にテニスの大会に出場しました。これをきっかけにテニスを少しずつ再開していきたいと思います。また料理もしますが、ただレシピとおり作るのではなく、どうしたら複数のメニューを同時並行で、効率的に作れるのかを考えて料理をしています。その段取りを考えるのが好きですね。

*この記事はゴム・プラスチックの技術専門季刊誌「ポリマーTECH」に掲載されました。

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